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狐罠*北森鴻

  • 2008/02/08(金) 17:24:28

狐罠狐罠
(1997/05)
北森 鴻

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店舗を持たず、自分の鑑定眼だけを頼りに骨董を商う「旗師」宇佐見陶子。彼女が同業の橘董堂から仕入れた唐様切子紺碧碗は、贋作だった。プロを騙す「目利き殺し」に陶子も意趣返しの罠を仕掛けようとするが、橘董堂の外商・田倉俊子が殺されて、殺人事件に巻き込まれてしまう。古美術ミステリーの傑作長編。


旗師・宇佐見陶子シリーズの一話目。
旗師として独立して四年目の陶子であるが、初々しいというよりも、もはや抜き差しならない骨董の世界に魅入られているといった壮絶な感じである。
そして、大英博物館や国立博物館をも巻き込んだ壮大なはかりごとの一端を それと知らずに担わされることになった陶子は、凄まじいなどという言葉では言い尽くせないほどの経験をした分、古物商としても人間としてもひと回りもふた回りも成長したのではないだろうか。
骨董の世界の奥深さや恐ろしさ、その世界に渦巻くそれぞれの思惑や欲の深さを、これでもかというほど見せつけられるようだった。




はじまり

       プロローグ

 大英博物館展示室キングスライブラリーに常設展示されているマグナカルタを横目で見て、パトリシア・マコーネルは、ルーム34へと急いだ。
 日が落ちかけているようだ。高窓から差し込む光に朱が交じり、青銅の窓飾りの影が、壁に向かって長く伸びている。この季節の英国にはめずらしく、晴れ間の続いた一日だった。そのためか建物の周囲を取り囲む道路にも、多くの人の姿を見ることができる。垂れ込めた雲と、街を侵食する霧ばかりが目立つ毎日に倦んだ人々が、奇跡のような日差しの下で、表情を和らげている。ついぞ笑顔など見せたことのない門番のキリー爺さんの、目を細めた顔を見たのが、ほんの数時間前のことだ。




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新・読書生活

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狐罠  [北森鴻]

★★★★★ 面白かった!骨董の世界のコトはほとんど分かりませんが、それでも十分楽しめました。 店舗を持たない骨董業者・旗師の冬狐堂こと宇佐見陶子。巧妙な仕掛けで贋作をつかまされたのをきっかけに、自らも贋作を製作し仕返しをたくらむ。そこへいろいろな人間?...

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