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海泡(かいほう)*樋口有介

  • 2003/09/10(水) 17:08:58

☆☆☆☆・

小笠原 という 東京都でありながら 船で二十六時間も隔てられている いわば閉ざされた空間。
いつも通りののんびりとした亜熱帯の風景、代わり映えのしない日常、不自由さ。
その中に外から持ち込まれた厄介事。
言ってしまえばそんな話なのだが それだけではない。

閉ざされた世界には 閉ざされているが故に抱える 憂鬱さがあり 諦めがある。
島の風景描写が語る 長閑さと倦怠と退廃、そして たくましさは 魅力に富んでいる。

目新しくはない事件が この島ならではのスパイスで 一風変わった風味になっている。

樋口有介氏には 一作読むごとに 惹かれてきている。


  海泡
  

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