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深淵のガランス*北森鴻

  • 2008/03/18(火) 17:25:49

深淵のガランス深淵のガランス
(2006/03)
北森 鴻

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花師と絵画修復師、二つの顔を持つ男・佐月恭壱。画壇の大家・長谷川宗司の孫娘から、曰くつきの傑作の修復を依頼された佐月は、パリの町並の下に隠されていた別の絵に気が付くが…。


表題作のほか、「血色夢」

花師にしろ絵画修復師にしろ、仕事師というのはなんと因果なものであろうか。己に与えられた仕事の真の芯まで知り尽くさずにはおられない業とでもいうようなものにまといつかれているようである。それでも、手を引くことができないばかりか、突き詰めなければ己の心が許さないのである。それが善であれ悪であれ。
絵画という一見明らかなものにも、隠された裏の意図や作為がこれほどまでに塗り込められているということにも驚かされ、また、修復作業の大胆さと繊細さ、裏に隠されたそれぞれの思惑にも興味は尽きない。

#ガランスとは赤(茜色)のこと




はじまり

       「深淵のガランス」

 ためらふな、恥ぢるな/まつすぐにゆけ/汝のガランスのチューブをとつて
 汝のパレットに直角に突き出し/まつすぐにしぼれ/そのガランスをまつすぐに塗れ
 生のみに活戸々と塗れ/一本のガランスをつくせよ
 空もガランスに塗れ/木もガランスに描け/草もガランスにかけ
 魔羅をもガランスに描き奉れ
 神をもガランスにて描き奉れ
 ためらふな、恥ぢるな/まつすぐにゆけ
 汝の貧乏を/一本のガランスにて塗りかくせ。
                    一本のガランス・村山槐多

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