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二の悲劇*法月綸太郎

  • 2008/03/25(火) 09:23:27

二の悲劇二の悲劇
(1994/07)
法月 綸太郎

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東京世田谷でOLが殺されて顔を焼かれ、ルームメイトが重要参考人として手配された。事件は三角関係のもつれによる単純な怨恨殺人と見られたが、ただ一点、被害者の呑み込んでいた小さな鍵が謎とされた…。作家にして探偵の法月綸太郎に出馬が要請された矢先、容疑者の死体が京都蹴上の浄水場で発見され、惨劇の舞台は一転、西へ飛んだ。自殺か、他殺か。失われた日記に記された、京都=東京を結ぶ愛と殺意の構図とは。


高校の同級生で大親友でもあった葛見百合子と清原奈津美の間になにがあったのだろうか。殺人の加害者と被害者という状況に置かれたふたりの、そこにたどり着くまでの経緯に興味をそそられる前半である。そして彼女たちの日常の様子に挟み込まれるように配置された、「きみ」という二人称で誰かに語りかけるような部分がなぞめいていてもどかしく、読者に先を急がせる。
何重かになった混乱を掻い潜って、やっとのことで真相にたどり着いたかと思うと、それを覆す事実が現れ、何度も目を眩まされてほんとうに真相に行き着いたときには、「やはり」という思いと「何故?」という思いが複雑に絡まりあった心地にさせられた。
ミステリとしては、充分に愉しめたのだが、若い娘たちにとっては、初めのほんの些細な歯車のかけ違いが引き起こした結果があまりにも哀しすぎる。




はじまり

       第一部 再会
          1

 きみは歩いている。繁華街の雑踏にまぎれ込み、歩道に沿って南の方へ向かっている。道連れはいない。両手をブルゾンのポケットに突っ込んで、ややうつむきがちに、きみはひとりなんの当てもなく、ぼんやりと歩を進めていく。

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