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RIKO―女神(ヴィーナス)の永遠*柴田よしき

  • 2008/04/02(水) 17:15:46

RIKO―女神(ヴィーナス)の永遠RIKO―女神(ヴィーナス)の永遠
(1995/05)
柴田 よしき

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レイプビデオがからむ連続殺人事件を追う新宿署刑事課村上緑子。巨大な警察組織の中で、個を見失わず放縦に生きる緑子。セクハラ・不倫・性的倒錯。--ここに新しい警察小説が誕生した!


村上緑子(りこ)シリーズ一作目。
あまり好きではないどろどろのにおいがしてずっと敬遠していたのだが、開いてみることにした。
緑子の物語、と著者があとがきで書いているように、警察官であり、その前に女性である村上緑子というひとりの人間の生き様を描いた物語である。初めから緑子の生き方に共感できるものはそう多くはないと思われるが、わたしも例外ではなかった。どうしても共感はできないし、それは最後まで変わることはなかった。途中何度も、ただ事件を追う警察小説であってくれたらどれほどいいだろうか、と思ったりもしたが、もしそうだったとしたらこれほど哀しみを抉り出すような物語にはならなかったのだろうと思う。
緑子と親しくなりたいとは思わないが、嫌いにもなれない。不器用なほど正直すぎる緑子ゆえだろうか。





はじまり

       第一部
          1

 「納得できません」
 緑子は強い口調で抗議した。
 「この事件は、私のチームが半年も前から地道に追って来て、ようやく形になってきたところなんですよ。それを成果だけ渡せなんて、本庁の良識を疑いたいですわ」
 「何も、成果だけ渡せなんていってはおらんだろうが。向こうもおまえさんの功績は認めて、チームに加わって欲しいと要請してきているんだから」
 「同じ事です。お情けでチームに加えて貰ったところで、どうせ使い走りか会議のお茶汲みが関の山、肝心のところでは蚊帳の外になるのは目に見えていますから。」
 円谷刑事課長は大きな溜息をついた。

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この記事に対するコメント

RIKOシリーズは異質ですよね。警察小説なのに、「女」の部分も多々あって、最初はすごく戸惑いました。
他の登場人物はまだ物語出てるのに、RIKOはさっぱりで、どうしちゃったんでしょうね。山内練を読むと、私の中ではRIKOなんですけどね。

  • 投稿者: じゃじゃまま
  • 2008/04/02(水) 17:29:39
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帯の惹句などで充分それが匂っていたので
ちょっと手を出しかねていたのでした。
覚悟はしていたのだけれど、やはり戸惑いますね。
警察小説として読みはじめないほうがいいかもしれません。

  • 投稿者: ふらっと
  • 2008/04/02(水) 19:02:10
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「リコ」シリーズは、第一作のこれしか読んでいませんが、「その他の柴田よしき」は、今どっぷりはまっている最中です。ちょうど「回転木馬」(これもしりーず2作目と知らず読み始めた・・・)で、また新たな柴田よしきをみつけたところです。
軽妙さと深刻さが同居することはないのですが、とても「真面目」というのが柴田さんの印象ですね。

  • 投稿者: チョロ
  • 2008/04/03(木) 18:11:20
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柴田さんは、ほんとうにいろんな引き出しをお持ちなので
いつも愉しい読書タイムを過ごさせていただいています。

リコシリーズ、いま二作目を読んでいるところですけれど
いまのところ、一作目よりも警察小説にシフトしている感じです。

  • 投稿者: ふらっと
  • 2008/04/03(木) 18:36:13
  • [編集]

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