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タルト・タタンの夢*近藤史恵
- 2008/04/06(日) 08:49:27
![]() | タルト・タタンの夢 (創元クライム・クラブ) (2007/10) 近藤 史恵 商品詳細を見る |
下町の小さなフレンチ・レストラン、ビストロ・パ・マル。風変わりなシェフのつくる料理は、気取らない、本当にフランス料理が好きな客の心と舌をつかむものばかり。そんな名シェフは実は名探偵でもありました。常連の西田さんはなぜ体調をくずしたのか? 甲子園をめざしていた高校野球部の不祥事の真相は? フランス人の恋人はなぜ最低のカスレをつくったのか?……絶品料理の数々と極上のミステリ7編をどうぞご堪能ください。
表題作のほか、「ロニョン・ド・ヴォーの決意」 「がレット・デ・ロワの秘密」 「オッソ・イラティをめぐる不和」 「理不尽な酔っぱらい」 「ぬけがらのカスレ」 「割り切れないチョコレート」
ビア・バーとビストロの違いはあるが、北森鴻氏の香菜里屋シリーズを思わせる設定である。
ビストロ・パ・マルでだされるのは、フレンチとは言っても肩肘張らない家庭料理のような品々で、客も気取らずに心ゆくまで料理を堪能できるのである。そこで料理にからめて語られる日常の謎を、口数が少なく愛想のないシェフの三舟が、料理を作ってみせることで解き明かすという趣向である。
客のひとりひとりを大切に思う、心のこもったおいしそうな料理とTPOをわきまえた心のこもった謎解きに、読者もひとときビストロ・パ・マルの客となって心地好さを味わえる一冊である。
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はじまり
「タルト・タタンの夢」
クレープシュゼットの青い火が、燃え上がった。
店内は一瞬、沈黙して、それからざわめきが起こる。ありふれたサービスだから、いいかげん、みんなが無関心になってもよさそうなのに、なぜか、この瞬間は、どんな常連客も、こちらを向いて、炎を凝視する。
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「タルト・タタンの夢」近藤史恵
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- 2011/07/15(金) 23:39:09
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この記事に対するコメント
ふらっとさん☆こんにちは
ミステリーなのに、食べ物ばかりに惹かれてしまうわたしです。(^^ゞ
三舟シェフが作るバスク料理を食べてみたいなぁ~!
お気持ち、とぉ~~ってもよく解ります。
ミステリを離れてしあわせな心地になりますね。
やっぱりミステリとお料理は相性がいいって思います(笑)。
北森鴻さんもむかし読みましたけど、おいしそうでしたね。
お料理を書くのは難しそうですよね。
読者としては、ひと粒で二度おいしい感じで、うれしいことこの上ないけれど。
食欲をそそられる物語でしたね。
そして、些細なミステリなのに、真相が気になって、サクサクと読みやすかったです。
個人的には後半の2篇がすごく好きですけどね。
北森さんのあとを継ぐおいしそうなミステリ作家は近藤さんだと思っているので、ぜひもっとたくさん書いていただきたいです。