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所轄刑事・麻生龍太郎*柴田よしき

  • 2008/04/10(木) 10:42:00

所轄刑事・麻生龍太郎所轄刑事・麻生龍太郎
(2007/01/30)
柴田 よしき

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人情あふれる下町を奔走する新米刑事・麻生龍太郎。日の当たる道だけを歩んでいるように映る龍太郎だが、人には明かせない秘密があった…。ベストセラー「緑子」シリーズの人気キャラクターの過去が初めて明らかに。


「大根の花」 「赤い鉛筆」 「割れる爪」 「雪うさぎ」 「大きい靴」

所轄の新米刑事として地域の事件を地道に捜査する麻生龍太郎の物語である。すでにこの頃から独特の着眼点と推理力を持ち、刑事として出世しそうな気配を色濃く見せていたが、龍太郎には自信を持ちきれない違和感のようなものがいつでももやもやとしているのだった。
所轄所時代の物語ということで、山内練とのそもそもの出会いとなった事件の詳細がわかるのかという期待もあったのだが、山内の気配はまったくなく、扱われる事件そのものは、よくある(という表現が適切かどうかわからないが)種類の所轄所らしいものである。
麻生龍太郎の行く末を知ってしまっている読者にとって、所轄所時代の彼を見るのは切なさを伴うものでもあり、また懐かしさをも覚えさせられるものでもある気がする。





はじまり

       「大根の花」
         1

 「絶対にガキの仕業だね」
 今津はコートの襟を立て、北風の中に頭を低くしながら言った。
 「最初っから少年係にやらせりゃいいんだよ、こんなのはよ。なんで俺らがやんないとなんないのよ、ったく」
 龍太郎は何も言わず、頷くでもなく、今津の後ろを歩いていた。確かに、感触としては犯人は少年だ、という気がする。少年事件はデリケートな部分が多い。専門家に任せないと、マスコミや世間から非難されるようなことにもなりかねない。だが暑の少年係は、館内で起こった対立する暴走族同士の喧嘩で死人が出てしまった事件の捜査にかかりきりで、犯人が少年かどうかはっきりしない段階で、今度のような小さな事件に人手を割いてもらえる可能性など最初からない。今津の愚痴は、龍太郎が聞いてやる以上の意味を持たない。

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この記事に対するコメント

麻生、山内とも魅力的ですねぇ、男からみても。
私は順番を間違えて、三浦しをんイチオシの「聖なる黒夜」から読んでしまったので、いきなりガツンと来たのですが・・・
いま「窓際の死神」を読み終えて余韻に浸っているところです。

  • 投稿者: チョロ
  • 2008/04/11(金) 18:39:20
  • [編集]

柴田さん、いろんなテイストの作品を書かれますものね。
ほんとうに同じ人が書いたのだろうか、と思うことがあります。

  • 投稿者: ふらっと
  • 2008/04/11(金) 19:07:47
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