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十二の嘘と十二の真実*あさのあつこ

  • 2008/04/22(火) 21:13:10

十二の嘘と十二の真実十二の嘘と十二の真実
(2007/10)
あさの あつこ

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美しい后と侍女ツル、王国に悲劇をもたらしたのは。物語は小さな街に住む謎の老女と交錯し…。中世の王国の物語と現代の恐怖譚のつづれ織り。怖いけれど哀しい、おぞましいけれど面白い異色作。


表題作のほか、「崖の上」

ツルという名を持つ女は、あるときは赤子のままで死に、ある国では后に侍女として仕え、あるときはひとり暮らしの老女として物語に現れる。
交互に語られる后の物語と老女の物語は、一見ときもところもまったく別の物語なのだが、いつしかするりと同化し、ひとつの物語になっていくような心地にさせられる。
まるで人間の内なる醜さ、弱さがツルの身を借りて人間自身を責めているようでもある。なんとも不思議な一冊だった。




はじまり

       その一 水の音

 女は死にかけていた。
 朽ちかけた苫屋の中だった。病ではない。生まれながらに身体は頑強で、子を産み、田畑を耕し、また子を産み、田畑を耕し、子を産んで生きてきた。
 最後にはツルという名をつけた。女の子だった。その子は千年も生きるという鶴の名を拒むように一年足らずで逝った。胸が掻き毟られるように辛かった。いや、あまりの辛さに自分の乳房に爪をたて、本当に掻き毟っていたのだ。




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あさのあつこ【十二の嘘と十二の真実】

「わたくしの目には、どのように美しい宝石でさえ、お后さまのお美しさの前には、ただの石塊(いしくれ)としか映りませぬ」 そう言ってツ...

  • From: ぱんどらの本箱 |
  • 2008/04/24(木) 10:49:08

この記事に対するコメント

「バッテリー」ですっかりブレイクしましたが、あさの氏は大人向けというか一般の小説のほうが力を感じます。この本も読んでみたいですね。

  • 投稿者: チョロ
  • 2008/04/23(水) 08:40:47
  • [編集]

『バッテリー』は、なんとなく読まずにいます。^^;

あさのさんの不思議譚、いいですよね。

  • 投稿者: ふらっと
  • 2008/04/23(水) 17:16:21
  • [編集]

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