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愛しの座敷わらし*荻原浩
- 2008/06/02(月) 18:50:30
![]() | 愛しの座敷わらし (2008/04/04) 荻原 浩 商品詳細を見る |
生まれてすぐに家族になるわけじゃない。一緒にいるから、家族になるのだ。東京から田舎に引っ越した一家が、座敷わらしとの出会いを機に家族の絆を取り戻してゆく、ささやかな希望と再生の物語。朝日新聞好評連載、待望の単行本化!
食品会社で課長を務める晃一は、力を注いだ企画――豆腐デザート――を没にされ、東北の田舎に転勤させられることになった。そこで彼は、これからは仕事よりも家族だ、とばかり家探しをし、広いが古い古民家を借りる契約をしてしまったのだった。
物語はその家を家族そろって――妻・史子、中学生の娘・梓美、小学生の息子・智也、晃一の母・澄子――見に行くところから始まる。
それぞれの思惑が絶妙に交錯し、結局その家に住むことになった高橋一家だったが、引越し一夜目にしてすでに波乱含みである。梓美がもともと置いてあった手鏡をのぞくと、そこに自分以外の顔が映っていたのだ。小さな子どもの顔だった・・・・・。
子どもは、いつでも誰にでも見えるわけではなさそうで、初めて目にしたときのそれぞれの反応やその後の対応が丁寧に描かれていて、それぞれその人らしくてほほえましくさえある。
学校での居場所、会社での立場、近所づきあい、などなど・・・・・。都会に暮らしていたときには、狭い家のなかで家族のそれぞれが自分の抱える問題をばらばらに思い煩っていたが、田舎の広すぎる家で、座敷わらしという共通の問題(?)を囲むうちに、家族の距離も少しずつ縮まってくるのだった。
ただいるだけの座敷わらしなのだが、やはり福を呼ぶ神様なのかもしれない。
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はじまり
第一章
スーパーはどこ?
一本道がどこまでも続いている。
助手席に座っている史子はだんだん不安になってきた。道の両側の背の低い街並みのどこにも、スーパーマーケットが見当たらないからだ。
初めても街並みだ。たまに見かける大きな建物は、たいてい何かの工場、もしくは土産物のお店。聞いたことのない自動車メーカーのショールームがあると思ったら、そこにはクルマではなくトラクターが置かれていた。最後にコンビニの看板を見かけたのはいつだったろう。
「ねぇ、まだ着かないの?」
カーステレオから流れるサザンオールスターズの曲に合わせて、調子っぱずれの鼻歌を歌っている晃一に声をかけると、妙な節をつけた答えが返ってきた。
「もうちょい。ちょっと待っててオー」
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愛しの座敷わらし 荻原浩
愛しの座敷わらし/荻原 浩 荻原浩 朝日新聞社 2008 STORY: 転勤で田舎に行くことになった一家。父が旧家を借り、そこに住むことになるが、その家には座敷わらしが住んでいて…。 感想: いまどきのバラバラな一家が、父の転勤で田舎に引っ越すこ?...
- From: 読書・映画・ドラマetc覚書(アメブロ版) |
- 2008/06/02(月) 23:26:58
愛しの座敷わらし 荻原浩著。
≪★★★≫ 夫、晃一の転勤に伴い、家族+夫の母と一緒に東北?に越してきた一家。 そして晃一が新しく選んだ家は、街中とは離れ、お隣さんが見えないくらい、買い物も往復で50分かかる、築103年で、広いっていえば広いけど、民芸館風の古めかしい家だった。 そして?...
- From: じゃじゃままブックレビュー |
- 2008/07/21(月) 17:38:25
【愛しの座敷わらし】 荻原浩 著
いつのまにか、家族と距離があいてしまった、パパ。 なんとなく、内にこもりがちな、ママ。 同級生にシカトされ始めた、娘。 喘息持ちの、息子。 ボケが始まった、姑。 東京にいた一家が、いきなり田舎に引っ越した… さてさて、家族の絆は取り戻せるのだろうか...
- From: じゅずじの旦那 |
- 2008/08/24(日) 16:38:41
愛しの座敷わらし 荻原浩
装画は浅賀行雄。装丁は鈴木成一デザイン室。初出「朝日新聞」。 転勤で田舎に引っ越した高橋一家が住むのは古い民家です。 出世を断たれ...
- From: 粋な提案 |
- 2008/09/10(水) 02:27:33
荻原浩 『愛しの座敷わらし』
愛しの座敷わらし/荻原 浩 ¥1,890 Amazon.co.jp 生まれてすぐに家族になるわけじゃない。一緒にいるから、家族になるのだ。東京から田舎に引っ越した一家が、座敷わらしとの出会いを機に家族の絆を取り戻してゆく、ささやかな希望と再生の物語。 47歳課長...
- From: 映画な日々。読書な日々。 |
- 2008/09/18(木) 23:46:57
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この記事に対するコメント
見えてるのに、そこにいるのに、なかなか現れてくれない・・・ちょっと待ちくたびれちゃいましたが、その間に家族のさまざまな問題が語られてたんですよね~。私ったら、早く早く!とじれじれしてました。(笑)待った甲斐?があって、ラストの一言はふんわり心が温かくなりましたね。
いちばん小さい智也とおばあちゃんにまず見えて・・・・
っていうのが、なるほど・・・と思わされますね。
それぞれの反応が興味深かったです。
ラストのひと言は、この一家のこれからを表わしていて秀逸ですね。
とてもハートウォーミングなお話でした。
それぞれの思惑を抱えたばらばらな家族の再生、
心地よかったです。
ほんとうに、見事にばらばらな家族でしたね。
お父さんの先走り方もお見事でした^^;
ラストの座敷わらしちゃんはどこへ行ってもやっていけるのか、ちょっぴり心配でした。
こんばんは。
座敷わらしがかわいかったですね。
家族全員の視線で書かれていたのがとてもよかったです。本当読後感のよい作品でした。
座敷わらし、可愛くて不思議な存在でしたね。
なにかをしてくれるわけではないのだけれど
いつのまにかなにかをもたらしてくれていたのですね。