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天使はモップを持って*近藤史恵

  • 2008/06/08(日) 16:52:41

天使はモップを持って (ジョイ・ノベルス)天使はモップを持って (ジョイ・ノベルス)
(2003/03)
近藤 史恵

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オペレータールームに配属された梶本大介。その社内では寄妙な事件が発生する。書類紛失、保険外交員墜死、マルチ商法勧誘社員の台頭、派遣女性社員の突然の昏倒、ロッカールームの泥棒、切り裂かれた部長のぬいぐるみ、黒い液体で汚されたトイレ。オフィスを騒がす様々な“日常の謎”を女性清掃作業員のキリコがたちまちクリーンにする本格ミステリー。


清掃作業員キリコシリーズ一作目。
「オペレータールームの怪」 「ピクルスが見ていた」 「心のしまい場所」 「ダイエット狂想曲」 「ロッカールームのひよこ」 「桃色のパンダ」 「シンデレラ」 「史上最悪のヒーロー」

二作目から読んでしまったので、一作目を読めばキリコちゃんの過去(?)が判るかと思っていたのだが、彼女の生い立ちなどには触れられていないのだった。モップを持った天使にはそれがいちばんふさわしいのかもしれない。
しかし、ゴミ箱というものに対して、人はなんと無防備なのかと思い知らされる。ミステリの謎を解く鍵は往々にして――清掃員のほか――だれも顧みることのないゴミ箱から見つかったりするのだから。
ラストの一話は、大介のしあわせと罪悪感とのせめぎ合いと、もったいぶり方が可笑しくもあり、たまらないラストである。ここから二作目の最終話へと繋がっているのだと納得できた。




はじまり

       「オペレータールームの怪」

 ぴっかぴかなのは、小学一年生だけではない。
 可愛らしさの点では劣るが、社会人一年生だって、それなりにぴっかぴかだ。
 学生のときには無縁だった、グレーの折り目のついたスーツ。黒の革靴。ワイシャツのカラーは少し窮屈だが、ネクタイだってまっさらだ。ランドセルならぬ、黒い鞄をさげて、元気に手を振って通勤する。ラッシュだってなんのその、だ。




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粋な提案

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天使はモップを持って 近藤史恵

カバー装画は飯田貴子。清掃員キリコの連作短編ミステリー、シリーズ一作目。読んだ新書版がなく文庫版の画像。 新入社員梶本大介を語り手...

  • From: 粋な提案 |
  • 2008/08/11(月) 03:06:37

この記事に対するコメント

二作目から読まれてたので、ラストの話が二作目の最終話へと繋がっていることが
わかられて、よかったです。
再読で大介とキリコの馴れ初めと仲のよさ、再確認しました。

  • 投稿者: 藍色
  • 2008/08/11(月) 03:06:10
  • [編集]

構成が絶妙なシリーズですね。
どこから読んでも、違ったたのしみともどかしさがあるような・・・。
図書館のふたりのような(笑)ベタ甘ではないけれど、こちらのふたりの仲のよさも好い感じですね♪

  • 投稿者: ふらっと
  • 2008/08/11(月) 06:48:48
  • [編集]

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