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イニシエーション・ラブ*乾くるみ

  • 2008/06/23(月) 17:31:23

イニシエーション・ラブ (ミステリー・リーグ)イニシエーション・ラブ (ミステリー・リーグ)
(2004/03)
乾 くるみ

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大学四年の僕(たっくん)が彼女(マユ)に出会ったのは代打出場の合コンの席。やがてふたりはつき合うようになり、夏休み、クリスマス、学生時代最後の年をともに過ごした。マユのために東京の大企業を蹴って地元静岡の会社に就職したたっくん。ところがいきなり東京勤務を命じられてしまう。週末だけの長距離恋愛になってしまい、いつしかふたりに隙間が生じていって…。

目次から仕掛けられた大胆な罠、全編にわたる絶妙な伏線、そして最後に明かされる真相…。80’sのほろ苦くてくすぐったい恋愛ドラマはそこですべてがくつがえり、2度目にはまったく違った物語が見えてくる…。


最後の最後までまんまと騙されてしまった。
最後から二行目を読むまでは、どうしてこれがミステリなのか、と訝しんでさえいたのであった。そうきたか、という感じである。ミステリに殺人や事件は不可欠なものではないのだと、いまさらながら思い知らされる。
ちょっとした、あまりにも些細な違和感を素通りしてはいけなかったのだ。そこにこそこだわらなければ。たっくん(夕樹)にとって魅力的な女性として描かれているマユが、なぜかどうしても好きになれなかったこととか、就職してからのたっくんのちょっとした行動の違和感とか・・・。
まるで、高いところから突き落とされたような衝撃だった。そしてやはり繭子を好きになれない。





はじまり

       side-A
1 揺れるまなざし

 望月がその晩、四人目として誰を呼ぶ予定だったのか知らないが、僕はそいつに一生分の感謝を捧げなければならないだろう。
 そいつがドタキャンしてくれたおかげで、僕は彼女と出会えたのだから。

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