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ツバメ記念日-季節風・春-*重松清

  • 2008/06/29(日) 13:48:38

ツバメ記念日―季節風*春ツバメ記念日―季節風*春
(2008/03)
重松 清

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記憶に刻まれた"春"は、何度でも人生をあたためる。憧れ、旅立ち、別れ、幼い日の母の面影──温かい涙あふれる12の春の物語


表題作のほか、「めぐりびな」 「球春」 「拝復、ポンカンにて」 「島小僧」 「よもぎ苦いか、しょっぱいか」 「ジーコロ」 「せいくらべ」 「霧を往け」 「お兄ちゃんの帰郷」 「目には青葉」

家族や故郷の存在のありがたさに改めて思いを馳せる物語である。その舞台の季節は春。別れと出会いが、余韻に浸るまもなく訪れる激動の季節ともいえる春が舞台だからこその、家族への思い、故郷への思いが、時に痛みや切なさを伴って描かれている。家族に、故郷に、しばし羽を休めた心と躰は、またあしたに向かって歩を進める力を蓄えているのだろう。
春という、不安定な季節を乗り越えたあとには、立ち向かうしかない夏が待っていようと、変わらない家族や故郷を知ったあとなら、立ち向かえるようになるのかもしれない。
痛くて切なくてじんと胸に沁みる一冊だった。



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じゃじゃままブックレビュー
粋な提案

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ツバメ記念日-季節風 春 重松清著。

≪★★★≫ 12の短編。 家族、夫婦、郷里の親や仲間たち、少年が出会った元ヒーロー、さまざまな形の、きっと誰にでもどこか似たようなことがあるかもしれない、春の物語。 中年になってから、何十年も前のことを思い返して切なくなったり、懐かしく思えたり・・・。そ?...

  • From: じゃじゃままブックレビュー |
  • 2008/08/04(月) 23:10:01

ツバメ記念日季節風・春 重松清

ツバメ記念日―季節風*春 装幀は吉田篤弘・吉田浩美。産経新聞連載を改稿改題。 出会い、別れ、旅立ち、母の思い出など春がテーマの短編集。...

  • From: 粋な提案 |
  • 2008/09/10(水) 02:23:11

この記事に対するコメント

重松さんらしい

とても重松さんらしい作品で、短篇の名手といっていいと思います。
ただ、「そろそろ来るぞ」というあたりで、きっちり盛り上がっているところや、本当にワルいやつがいないところなどが、やや不満です。
作品に毒を盛れないのが、資質といえばそれまでですが、いい意味での裏切りを期待したいところです。

  • 投稿者: チョロ
  • 2008/07/02(水) 16:30:24
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ふふふ、贅沢な不満ですね。

舞台に春を選んだのは、大正解だと思いました。

  • 投稿者: ふらっと
  • 2008/07/02(水) 17:39:23
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私には郷里ってものがないのですけど、家族や郷里のありがたさ、確かに伝わってきますね。

  • 投稿者: じゃじゃまま
  • 2008/08/04(月) 23:13:50
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わたしも郷里をもたないのですけれど
ふるさとを遠く離れて暮らしている人たちにとっては
より特別な感慨を抱く一冊なのかもしれませんね。

  • 投稿者: ふらっと
  • 2008/08/05(火) 06:40:52
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悩んだり悲しい事があっても、ほっとする結末でしたね。
春に見合ったあたたかな物語たち、よかったです。

  • 投稿者: 藍色
  • 2008/09/10(水) 02:22:42
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春って、胸がじんとする物語が生まれやすい季節なのかもしれませんね。

  • 投稿者: ふらっと
  • 2008/09/10(水) 06:56:03
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