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あやし うらめし あなかなし*浅田次郎

  • 2008/07/30(水) 13:29:26

あやしうらめしあなかなしあやしうらめしあなかなし
(2006/06)
浅田 次郎

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日本特有の神秘的で幻妖な世界で、生者と死者が邂逅するとき、静かに起こる優しい奇蹟。此岸と彼岸を彷徨うものたちの哀しみと幸いを描く極上の奇譚集。名手が紡ぐ、懐かしくも怖ろしい物語。


「赤い絆」 「虫篝(むしかがり)」 「骨の来歴」 「昔の男」 「客人(まろうど)」 「遠別離」 「お狐様の話」

怪談と言ってしまってはこの妖しさは伝わらないだろう。妖しくなまめかしく不思議で、そして背筋が凍るような恐ろしさを秘めている。まさに奇譚の数々である。
ほんとうに起こったかもしれない出来事が淡々と語られていくのに耳を澄ませるうちに、背後から冷たい気配が忍び寄ってくるような心地の一冊である。





はじまり

       「赤い絆」

 その男女の客は月のない真冬の山道を、抱き合いながら登りつめてきたのだと伯母は言った。
 枕を並べて耳を欹てる子供らは、寝物語の初めのひとことで怖れをなし、悲鳴を上げて蒲団に潜りこんだ。
 静かに聴けないのなら続きはよしにするよ、と伯母は清らで厳しい貴顕の声で言った。私たちはたがいをたしなめ合いながら、黒羅紗を縫いつけた夜具の縁に顔を出した。

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この記事に対するコメント

ふらっとさん☆おはようございます
怖いというよりも「あなかなし」な印象が強い作品でしたね。
どんなに不思議な話でも、それは本当にあった話なんじゃないかなぁと思えてくる、浅田ワールドはさすがだなぁと思いました。

  • 投稿者: Roko
  • 2008/08/02(土) 09:44:52
  • [編集]

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