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そうか、もう君はいないのか*城山三郎

  • 2008/08/07(木) 17:07:06

そうか、もう君はいないのかそうか、もう君はいないのか
(2008/01/24)
城山三郎

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甦る面影、声にならぬ悲しみ。最期まで天真爛漫だった君よ……。亡き妻との人生の日々を綴った、凛として純真な愛あふれる「妻との半生記」。感涙の絶筆。

癌とわかった妻。私は言葉が出なかった。かわりに両腕をひろげ、その中へ飛びこんできた容子を抱きしめた。「大丈夫だ、大丈夫。おれがついてる」 夫婦の絆を綴る、愛惜の回想記。「遺稿」の単行本化。


「そうか、もう君はいないのか」
タイトルにもなっているこの呟きが、言いようもなく淋しく切なく胸に迫る。
著者にとっての妻・容子さんのかけがえのなさが、これでもかというくらいこちらのむねに流れ込んできて、愛でいっぱいになるほどである。
巻末に添えられた次女・紀子さんの文章に、著者の最期の様子が垣間見られるが、この世の最後の最後まで、そしておそらくあの世でも、しあわせでいらしたのだろうと思わせられる。




はじまり

       Ⅰ

 御茶ノ水駅近くのビル。
 その中に在る二階造りの講堂で、文芸講演会が開かれた。
 平日の午後であり、ビルそのものが婦人誌出版社の社屋というせいもあってか、満員の客の七、八割が女性客。
 司会者による紹介が終わり、拍手に迎えられた私は、考えながら演壇に立った。
 いつものことながら、話し出してしまえば何とかなるのだが、心も表情もまだ硬い。




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  • 2008/08/07(木) 23:44:20

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