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四〇九号室の患者*綾辻行人

  • 2008/08/10(日) 16:35:57

四〇九号室の患者四〇九号室の患者
(1995/05)
綾辻 行人

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多くの読者を魅了する推理小説家の著者が、プロデビュー前に書いた作品。自動車事故で失った記憶を求めて綴られる日記。次第に明らかになる自らの謎。二転三転の末に待ちうける結末とは。1993年森田塾出版の再刊。


作品のほとんどが、事故にあって生き残りはしたが記憶を失って精神科の病棟に入院している主人公の日記で占められている。その間にほんの少し、看護師や担当医師の思惑が挟み込まれているだけである。それだけで、「わたしは誰?」という主人公の狂おしい胸のうちと、怖いもの見たさの読者の興味とが加速度的に盛り上がるのである。
綾辻氏なので、いちばんありえない結末を予想してみたのだが、まさにそんな結末だった。





はじまり


 突然、音が変調した。
 耳を裂く甲高い摩擦音。続いて凄まじい衝突音。一瞬にして世界が転倒、瓦解する。
 衝撃。振動。回転。――圧迫。激痛。驚愕。狼狽。恐怖。焦燥。――爆発。

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