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ブランケット・キャッツ*重松清

  • 2008/08/16(土) 16:35:16

ブランケット・キャッツブランケット・キャッツ
(2008/02/07)
重松 清

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馴染んだ毛布とともにレンタルされる猫たち。「いま」を生きる人の孤独と猫のしなやかさ。リストラされた父親が家族にささやかな夢として猫を借りてきた「我が家の夢のブランケット・キャット」など、直木賞作家が贈る7つの心温まる物語。asahi.com連載の単行本化。


「花粉症のブランケット・キャット」 「助手席に座るブランケット・キャット」 「尻尾のないブランケット・キャット」 「身代わりのブランケット・キャット」 「嫌われ者のブランケット・キャット」 「旅に出たブランケット・キャット」 「我が家の夢のブランケット・キャット」

二泊三日、生まれたときから馴染んだブランケットとともに貸し出される猫たちと、その借り手たちの物語。貸し出される猫も、借主もさまざま。そして、借りる理由もそれぞれである。にもかかわらず、これらの物語にはどこかおなじような匂いがする。淋しさ、やりきれなさ、心許なさ。そして、このままではいけないと思う気持ちが満ちているような気がする。
さまざまな人の二泊三日の飼い猫になる賢い猫たちは、そんな人間たちの弱さまでをも受け止めて、にゃぁというひと声で背中を押してくれるのかもしれない。猫たちがカウンセラーにも見えてしまう。




はじまり

       「花粉症のブランケット・キャット」
         1

 基本の契約期間は三日間――二泊三日。
 「ちょっと短すぎるとお感じになるかもしれませんが」
 契約をすませたばかりの客に、店長はいつも、こう言う。口調も表情も、下描きの線をなぞるように正確に繰り返す。
 「三日を過ぎると情が移ります。猫のほうは逆に、もうここに帰れないんじゃないかと思って不安になる。それはお互いにとって不幸なことだと思うんですよ」
 買取は不可。同じ猫の貸し出しも、原則的には一カ月以上の間を空けないと受け付けない。
 「あくまでもレンタルです」




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じゃじゃままブックレビュー

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ブランケット・キャッツ 重松清著。

≪★★★★≫ こんなこと書くと、各方面から非難受けそうだけど、私は猫って嫌い。なんでかって、毛がね~~、あの毛が嫌なのよ!部屋中毛が・・・。猫派と犬派に分かれるけど、どっちでもないってのもいるからね。 なので、「キャッツ・・・って猫だよね~」と、勝手に、重?...

  • From: じゃじゃままブックレビュー |
  • 2008/08/17(日) 23:40:17

この記事に対するコメント

てっきり猫好きの作家さんの猫自慢のお話かと思ってたら、やっぱり重松さん、人と人の絆でしたね。泣かされました。
身代わりの話も、家出した子どもたちの話も、大好きです。

  • 投稿者: じゃじゃまま
  • 2008/08/17(日) 23:42:23
  • [編集]

家出した子どもたちの話「旅に出たブランケット・キャット」だけ、猫目線だったのも絶妙でしたね。

ブランケット・キャッツの気持ちも少しわかって、辛いだけの人(猫)生ではないのだと思えてちょっぴりほっとしました。

  • 投稿者: ふらっと
  • 2008/08/18(月) 06:29:07
  • [編集]

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