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平台がおまちかね*大崎梢

  • 2008/08/26(火) 21:41:44

平台がおまちかね (創元クライム・クラブ)平台がおまちかね (創元クライム・クラブ)
(2008/06)
大崎 梢

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自社本をたくさん売ってくれた書店を訪ねたら、何故か冷たくあしらわれ、文学賞の贈呈式では受賞者が現れない…。波瀾万丈の日々を奮闘する、新人出版社営業部員・井辻くんのハートフル・ミステリ。


表題作のほか、「マドンナの憂鬱な棚」 「贈呈式で会いましょう」 「絵本の神さま」 「ときめきのポップスター」
その間に、「新人営業マン・井辻智紀の一日1-5」が挟み込まれている。

書店員さんたちに評判のよかった前任者・吉野さんの後任として、とりたてて秀でたところのない――と自分で思っている――井辻智紀がアルバイトから正社員に登用された。ほかの出版社の営業マンたちと、時に競い、時に協力し合って書店やその周辺で起こる謎を解き明かしていく。吉野先輩には敵わない、といつも思っている井辻くんだが、この一冊が終わるころにはキャラの濃い営業マン仲間にもしっかり溶け込み、書店員さんからも信頼されつつあって、頼もしくすら見えてくる。
成風堂書店の多絵ちゃんを匂わせるエピソードが出てくるのも、思いがけず懐かしい人の消息を聞いたようでうれしい。




はじまり

       「平台がおまちかね」

 注文書を片手に在庫をチェックしていく。一階から六階までフロアを占める巨大な書店の文庫売り場。智紀の勤める明林書房の本は、五十センチ幅の棚で左右に四段ずつ、計八段にみっちり詰まっている。
 これだけのスペースをもらっているのは都内でも数えるほどだ。壮観といっていい眺めだけれど、広い売り場のほんの一角にすぎない。広いからこそ、明林書房にもこれだけの棚を与えてくれている。
 棚のチェックをすませ、平台をもう一度点検し、ストッカーの中も調べる。ひととおり終えたところで床に置いた鞄を手に持ち、担当者を捜した。




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しんちゃんの買い物帳
じゃじゃままブックレビュー

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「平台がおまちかね」大崎梢

平台がおまちかね (創元クライム・クラブ) 井辻智紀が明林書房に入ったのは昨年、大学を卒業してすぐの春からだ。その前に二年ほど同じく...

  • From: しんちゃんの買い物帳 |
  • 2008/09/05(金) 23:14:53

平台がおまちかね 大崎梢著。

≪★★★≫ あの「成風堂シリーズ」の著書の、新たなる短編シリーズ!? 書店の販売員さんから、今度の主人公は出版社の営業マン。そうだよね~、本好きには堪らない設定だよね~。そうだそうだ!出版社といえば編集の仕事を真っ先に上げてしまうけど、作家さんと作り上げた...

  • From: じゃじゃままブックレビュー |
  • 2008/09/23(火) 22:59:32

この記事に対するコメント

表題作の吉野さんとあの店長さんが、誤解がありながらも互いのこと思ってたっていうのがよかったですね。「贈呈式でお会いしましょう」も私は好きです。
「絵本の神さま」は、あの男性がおじさんの苦労分かってくれて安心しました。よかったよかった。

  • 投稿者: じゃじゃまま
  • 2008/09/23(火) 23:02:07
  • [編集]

大崎作品は、ただやさしくあたたかいだけではなくて
ピリッとブラックなスパイスが効いているところが好みです。
それでいてラストはちゃんとほっとさせてくれて。

  • 投稿者: ふらっと
  • 2008/09/24(水) 06:51:20
  • [編集]

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