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天下り酒場*原宏一

  • 2008/09/22(月) 20:04:47

天下り酒場 (祥伝社文庫 は 8-2)天下り酒場 (祥伝社文庫 は 8-2)
(2007/10)
原 宏一

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経営不振の割烹居酒屋『やすべえ』の店主ヤスは、ある人物を雇って欲しいと常連客に頼まれた。それはなんと、片倉という県庁の役人。居酒屋に天下った片倉は元役人の事務能力を発揮、食材の一元管理と仕入れの効率化で店を黒字に転じた。勢いにのった片倉はヤスに店舗拡大を唱え始めるが・・・・・。(表題作より)
『床下仙人』でブレイクした著者が放つ、現代日本風刺小説!


表題作のほか、「資格ファイター」 「居間の盗聴器」 「ボランティア降臨」 「ブラッシング・エクスプレス」 「ダンボール屋敷」

何かにのめりこむと憑かれたようにてとことんのめりこみ、限度を超えてどうにもならなくなる。常に物足りなさを抱え、夢中になれるものを見つけると藁にもすがる気持ちで周りが見えなくなる。病的ともいえる現代人の姿がユーモアとともに辛らつに描かれていて、可笑しくも哀しい一冊である。





はじまり

       「天下り酒場」

 仕込を終えて一服していると柿本がやってきた。格子の引き戸を開けて顔を覗かせ、いいかな?と声をかけてくる。
 開店まで一時間あったが、ヤスは黙ってうなずくと煙草を揉み消した。店員の女の子たちは、いつも開店三十分前に出勤してくる。ヤスは腹が突きでた体をよいしょと持ち上げ、縄暖簾を店先に掲げると、手馴れた仕草で中ジョッキに生ビールを注いでカウンターの右端に置いた。その席が柿本の指定席ということになっている。

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