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陽だまりの偽り*長岡弘樹

  • 2008/09/28(日) 21:25:03

陽だまりの偽り陽だまりの偽り
(2005/07)
長岡 弘樹

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最近、物忘れがはげしいことを気にしている郁造。息子の嫁から預かった現金を落としてしまったが、どこで落としたのかも覚えていない。ボケ老人のレッテルを貼られることを恐れ、郁造はある行為に踏み切る。果たして、その先に待ち受けていたものは…(表題作「陽だまりの偽り」)。5つの心模様を端正に描いたミステリー短編集。小説推理新人賞作家、注目のデビュー作。


表題作のほか、「淡い青のなかに」 「プレイヤー」 「写心」 「重い扉が」

どの物語も、ラストにどんでん返しが待っている。現実の、というよりも胸のなかで起こるどんでん返しが多く、それで一気にそれまでのことが腑に落ちたりもする。切なくもあり、あたたかくもあり、登場人物本人には不本意であったとしても、読者としては悪い気分ではない。さりげなく上手いと思う。





はじまり

       「陽だまりの偽り」
         1

 「お義父さん」と呼ばれて、梶山育造は目を覚ました。
 顔を上げると、茶の間の入口に、掃除機を手にした久仁代が立っていた。
 「あら、すみません」
 その言葉が、起こしてしまったことに対する謝罪だと気づくまで、少し時間がかかった。まだ眠気が居座っているせいで、頭がよく回らない。

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