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義弟*永井するみ

  • 2008/10/04(土) 16:31:24

義弟義弟
(2008/05/20)
永井 するみ

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克己と彩は血の繋がりのない義理の姉弟。成人した今、克己の彩に対する感情は、姉以上のものになっていた。そんな中、彩の不倫相手が彼女の職場で急死する。助けを求められた克己は、彼女を守るため遺体の処理をするのだが……。克己の抑えられない破滅的な衝動、男性を受け入れられない彩の秘密。それぞれの心の闇を描く、衝撃の問題作。


タイトルから想像したよりも、どうしようもない泥沼の物語ではなくてよかった。単なる不倫物語でもミステリでもなく、期せずして姉弟になってしまったふたりの葛藤の物語、というようなニュアンスの物語である。姉と弟それぞれが、相手に対する想いを胸にしまって、「ひとり」として生きようともがく姿が切なさを誘う。ふたりの本当の人生は、このラストのまたその先にこそあるのだろうと思われる。語られない物語のなかでは、ふたりの人間としてありのままに生きて欲しいと願う。




はじまり

       第一章 夜

 赤いずんぐりしたポリ容器が二つ、仲のいい狛犬のように並んでいる。
 中に入っているのは灯油、それぞれ二十リットルずつ。
 夕食後、こっそり家を抜け出し、近所のガソリンスタンドで買ってきた。二往復して。顔見知りの店員は、重いよー、大丈夫かい? と心配してくれた。これもトレーニングの一環なんだと答えたら、ほんと、克己くんは身体を鍛えるのに熱心だよなあ、俺も見習わないとな、と自分の小太りな身体に目をやって苦笑いしていたっけ。




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粋な提案
ゼロから

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  • From: 粋な提案 |
  • 2008/11/20(木) 15:38:19

永井するみ 「義弟」

両親の再婚}で姉妹の関係になってけど、問題を抱えていたのは弟だけではなく、姉もだった。泥臭い展開になるかと思っていたらそこまでならなかったのは、今後の展開を読者に推測させるためなのでしょうか。

  • From: ゼロから |
  • 2010/12/28(火) 11:12:10

この記事に対するコメント

こんにちわ。永井さんって、とても几帳面で真面目な小説家、というイメージです。ときには乱れたりふざけたりもして欲しいもんだ、とも思いつつそういう読者に阿ない態度こそが魅力だからなぁ、などと勝手なことを思っています。この「義弟」、未読だったので是非読んでみたくなりました。

  • 投稿者: チョロ
  • 2008/10/05(日) 06:44:25
  • [編集]

本作も著者らしい几帳面さではありますけれど
ちょっとひと色変わった筋運びで、いい意味で裏切られました。

  • 投稿者: ふらっと
  • 2008/10/05(日) 17:01:34
  • [編集]

やっぱり読む前は泥沼の物語を想像しちゃいました。
その先が、とっても読みたいです。

  • 投稿者: 藍色
  • 2008/11/20(木) 15:38:00
  • [編集]

やはり藍色さんもそうでしたか・・・。
永井さんですものねぇ^^;

  • 投稿者: ふらっと
  • 2008/11/20(木) 17:38:33
  • [編集]

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