fc2ブログ

ぬばたま*あさのあつこ

  • 2008/10/06(月) 18:13:45

ぬばたまぬばたま
(2008/01)
あさの あつこ

商品詳細を見る

あの夏の日、山へ入らなければ、ぼくたちの運命は変わらなかっただろうか。けれど、彼は山に呼ばれてしもうた…。死にゆく者の無念と生きぬく者の苦しみ。山々を舞台に描いた、怖ろしくも哀しい4つの物語。


四つの寂れゆく故郷と緑と山と、その場所に根源を持つ人の物語。
人間の弱さや悪意、秘めておきたい暗部などが、自ずから暴かれていくような不穏さが漂っている。山という神とも魔ともつかないものが棲みついていそうな場所を舞台にしたからこそのおどろおどろしさでもある。
「山に呼ばれる」という科学的には根拠がないであろうことも、理屈抜きで受け容れてしまえそうな雰囲気に満たされていて恐ろしい。





はじまり

壱の壱

 女たちの足首が白い。
 緋色の蹴出しから覗いた素足が白く浮いている。薄闇に鮮やかに浮かび出る。
 十人、十五人・・・・・いや二十人はいるだろう。同じ格好をしている。
 編笠、白い浴衣、紅襷、そして緋色の蹴出し、そして小さな提灯。一人一人が左手に小さな、野球ボールほどの小さな提灯を下げていた。女たちが左手をひょいと上げるたびにゆらゆらと、横に動かすたびに斜めに下ろすたびにゆらゆらと、小さな提灯は揺れる。

この記事に対するトラックバック

この記事のトラックバックURL

この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

ぬばたま あさのあつこ著。

≪★☆≫ すべてを失った男。幼き頃、母が去った山。その山に足を踏み入れた。 女たちが舞っていた。男は獣に変身していく。 成美は15歳まで住んでいた山間の小さな町に、晶君を置いてきてしまった。たった一人ぼっちで。待たせてしまった晶君に、成美は会いに行く。 ...

  • From: じゃじゃままブックレビュー |
  • 2009/11/23(月) 22:18:03

この記事に対するコメント

なんともいえない気持ちになりました。
山に呼ばれたのか・・・山は人魂が還るところってすごく分かる気がするんですよね。
ただ物語の中に、一人、幼い我が子を置いて山に入ってしまった女性の話がすごく嫌で、残された子どものことを思うと悲しくなりました。

  • 投稿者: じゃじゃまま
  • 2009/11/23(月) 22:22:20
  • [編集]

見たくないのに通り過ぎることができないような不穏さを宿していて、胸をざわざわさせる物語でした。

  • 投稿者: ふらっと
  • 2009/11/24(火) 06:53:28
  • [編集]

この記事にコメントする

管理者にだけ表示を許可する