fc2ブログ

ひとつ灯せ*宇江佐真理

  • 2008/10/08(水) 17:21:23

ひとつ灯せ―大江戸怪奇譚ひとつ灯せ―大江戸怪奇譚
(2006/08)
宇江佐 真理

商品詳細を見る

山城河岸の料理茶屋「平野屋」の隠居・清兵衛は53歳。家督をゆずったものの、暇をもてあまし、伊勢屋甚助の誘いで「話の会」という集まりに顔を出し始めた。作り話でない怖い話を持ち寄って酒を酌み交わし……。

江戸の四季折々に語られる人情あふれる、宇江佐版・百物語。


表題作のほか、「首ふり地蔵」 「箱根にて」 「守」 「炒り豆」 「空き屋敷」 「入り口」 「長のお別れ」

年齢も職業もさまざまな人たちが月に一度集まって自分が見聞きした不思議な話を披露する。この話の会に、料理茶屋・平野屋の隠居・清兵衛もひょんなことから参加することになった。
不思議な話を聞きあうだけでなく、次第に不思議な出来事を相談されたりもするようになり、会の面々は怖い思いもすることになるのである。言い伝えられる怪談ではなく、実際に誰かの身に起こったことであるというのが、怖さを募らせ、のめりこませる要因にもなったのだろうか。
ただ、出来事そのものは、すべてがすっきり解決されるという風でもなく、仕舞いには会も散会し、会の面々が次々に亡くなっていくのがいささか腑に落ちなくもある。





はじまり

       「ひとつ灯せ」
         一

 初代将軍徳川家康が江戸に入府する以前、日本橋以南の土地は遠浅の海だったという。
 江戸では繁華な場所として知られる銀座界隈も、当時は鄙びた海岸風景が拡がっていたようだ。
 江戸にやってきた家康は、さっそく江戸城の建設に着手した。すると、基礎工事で夥しい残土が出た。その残土の処理をあれこれと考えているうち、付近の海岸を埋め立て、市街地を造成しようという計画が生まれた。山下御門傍の山城河岸一帯も、そうしてできた町の一つである。

この記事に対するトラックバック

この記事のトラックバックURL

この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

この記事に対するコメント

この記事にコメントする

管理者にだけ表示を許可する