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空へ向かう花*小路幸也

  • 2008/10/22(水) 18:36:55

空へ向かう花空へ向かう花
(2008/09/26)
小路 幸也

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ハルとカホは違う小学校に通う、六年生。
接点などなかったふたりが、運命のいたずらによって引き寄せられる。
心に傷を負った少年、少女、そして彼らを見守る大人たち。
それぞれが懸命に、前を向いて歩いていく――。


六年生のハル(沢木春之)、違う学校の六年生のカホ(折村花歩)、大学生のキッペイ(桔平)、中年の肉体労働者イザさん(井崎原)が、それぞれ別々に知り合ったにもかかわらず、次々にリンクするように共通の知り合いになっていくのが運命的に見える。しかも、それぞれの知り合ったきっかけが、相手のことを慮った結果なので、神様に与えられた必然なのかもしれないとさえ思えるのである。
十二歳にして背負いきれない重荷を負ってしまったハル、幼すぎるときから過酷な日々を過ごしてきたカホ、そんな彼らをあたたかく見守る目と、差し伸べられる愛にあふれた手があってくれてほんとうによかった。
物語が終わっても、ハルやカホの重荷がなくなるわけではないが、信じられる人たちに出会えたことはふたりの未来をきっと明るくするだろう。




はじまり

僕は女の子を殺してしまった。
それから家の中が、静かになった。
もうすぐ死んでしまった女の子の誕生日だったってわかった。
死んだら、あの子にあやまれるかなって思った。
ビルの屋上から飛び降りようとしたら、光が眼に入った。
まぶしくてまぶしくて飛び降りるのをやめて、その光がどこから来るのか確かめた。
ずっと向こうの、小さなビルの屋上。僕に向かってキラキラ揺れてる。
何かが、光ってる。




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粋な提案

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空へ向かう花 小路幸也著。

≪★★☆≫ 僕は女の子を殺してしまった。 少年は、女の子に謝るために死のうとする。 少年が死のうとしてるのを見てしまった少女は、それを止めるために鏡で光を少年に当てる。 一人の女の子の死と、殺してしまった少年と、偶然それを止めた少女の出会い。 少年の家族、?...

  • From: じゃじゃままブックレビュー |
  • 2008/11/16(日) 00:15:38

空へ向かう花 小路幸也

空へ向かう花(2008/09/26)小路 幸也商品詳細を見る 装幀は片岡忠彦。装画はアカサカヒロコ。書き下ろし。 飛び降り自殺を図った春之:ハルを救っ...

  • From: 粋な提案 |
  • 2008/11/20(木) 15:28:41

この記事に対するコメント

イザさんや花屋のお兄さん、野球の監督さんとかお役所の人、カホとハルの周囲にいる大人たちがよかったですよね。
ハルが訴えられていたことも、その解決のために、みんなが作った花壇がとっても意味があったことも、読み終えてみると、すべてはタイトルに込められてて、なるほどな~って。
謎のままのことも多いですが。

  • 投稿者: じゃじゃまま
  • 2008/11/16(日) 00:19:11
  • [編集]

カホとハルの周りに不思議な運命のように集まった大人たち誰もが、他人のことを慮れる人たちでよかったと、心から思いました。
タイトル、秀逸ですね。

  • 投稿者: ふらっと
  • 2008/11/16(日) 08:29:04
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子供とちゃんと向き合ってくれる大人たちに、ほっとしました。
前向きさを感じさせるラストが心地よかったです。

  • 投稿者: 藍色
  • 2008/11/20(木) 15:28:17
  • [編集]

子どもにとって、真剣に自分のことを考えてくれる大人との出会いは宝物かもしれませんね。
背負いつづけなければならないものがあるとしても、未来には光が見えてよかったですね。

  • 投稿者: ふらっと
  • 2008/11/20(木) 16:58:44
  • [編集]

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