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僕たちのミシシッピ・リバー-季節風*夏-*重松清

  • 2008/10/24(金) 18:13:42

僕たちのミシシッピ・リバー―季節風*夏僕たちのミシシッピ・リバー―季節風*夏
(2008/06)
重松 清

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誰より気が合う相棒の転校を前に、僕らは冒険に出かけた──憧れのあの2人組のように。友人を家族を恋人を"思う"12の夏の風景


表題作のほか、「親知らず」 「あじさい、揺れて」 「その次の雨の日のために」 「ささのは さらさら」 「風鈴」 「魔法使いの絵の具」 「終わりの後の始まりの前に」 「金魚」 「べっぴんさん」 「タカシ丸」 「虹色メガネ」

前作と同様、別れの物語が多い。前作の春ゆえの揺れ動く惑いの別れとはやはり少し趣を異にしていて、汗と涙と切なさの別れが多いように思われた。永遠の別れにも、友人との別れにも、そしていままでの自分との別れにも、そのときどきの季節の行事や風景がいつも深くかかわっている。おなじ季節がめぐりくるたびに、別れたものへの想いもまた新たになっていくのだろう。




はじまり

       「親知らず」

 予感がないわけではなかった。
 新幹線の車中で飲んだ冷たいウーロン茶が、右下の奥歯のさらに奥、顎の付け根にしみた。
 ヤバいかもな、と思ったのだ。隣に座る妻に「やっぱりアウトだった」と言った。右頬を指差し、小首をかしげながら、「ひさびさに来そうだ」とも言った。




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映画な日々。読書な日々。

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僕たちのミシシッピ・リバー 重松清著。

≪★★★≫ 三つとはちょっと厳しいかな。でも重松さんくらい泣かせる作家さんだと、こっちのハードル高くなっちゃう。≪春≫よりも、≪夏≫の方が爽やかに感じた。 「親知らず」 あんまり印象に残らなかった。 「あじさい、揺れて」 義姉が再婚をする。兄が亡くなり四年...

  • From: じゃじゃままブックレビュー |
  • 2008/10/28(火) 23:19:21

重松清 『僕たちのミシシッピ・リバー』

僕たちのミシシッピ・リバー―季節風*夏/重松 清 ¥1,500 Amazon.co.jp 血の繋がらない家族はいつまで“家族”なんだろう――4年前、兄は幼子と妻を残して亡くなった。その嫂(あによめ)が再婚するという。両親への挨拶の日に彼女は泣き崩れてしまった(「あ...

  • From: 映画な日々。読書な日々。 |
  • 2008/11/05(水) 22:41:11

この記事に対するコメント

「タカシ丸」には泣かされました~!!
忘れられませんね。「虹色メガネ」も別ればかりの話で寂しくなってるところに、なんていうか明るい光が見えて、これも好きです。
好きじゃないのに、「ささのはさらさら」も忘れられない。再婚しちゃうお母さんとその相手、どうにも好きになれませんでした。(爆)

  • 投稿者: じゃじゃまま
  • 2008/10/28(火) 23:21:39
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別れとひと口に言っても、実にさまざまですね。

「タカシ丸」の別れは、ほんとうにほんとうに辛かったです。
そして、切なくてあたたかくて、さみしくて、じんとさせられました。

「ささのはさらさら」は、娘の立場でみると、母の女ぶりがちょっとねぇ・・・と思いましたね。

  • 投稿者: ふらっと
  • 2008/10/29(水) 06:54:23
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こんばんは。
TBさせていただきました。
春は読んでないのですが、死や別れのお話が多かったですね。それでも優しさや温かさを感じることができるのは重松さんならではでしょうか。
タカシ丸もよかったですが、私はべっぴんさんがよかったかな。

  • 投稿者: masako
  • 2008/11/05(水) 22:47:51
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「べっぴんさん」も、ほんのりじんわりと胸に沁みるお話でしたね。
何気ない日常にこそ、大切なものがあふれているのだということに気づかせてくれる重松さんなのでした。

  • 投稿者: ふらっと
  • 2008/11/06(木) 06:37:21
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