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君の望む死に方*石持浅海

  • 2008/10/26(日) 08:39:41

君の望む死に方 (ノン・ノベル 845)君の望む死に方 (ノン・ノベル 845)
(2008/03)
石持 浅海

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私は君に殺されることにしたよ
しかも殺人犯にはしない──。
死を告知された男が選んだ自らの最期。
周到な計画は、一人の女性の出現によって齟齬(そご)をきたしはじめた
膵臓ガンで余命6ヶ月──
〈生きているうちにしか出来ないことは何か〉
死を告知されたソル電機の創業社長日向貞則(ひなたさだのり)は社員の梶間晴征に、自分を殺させる最期を選んだ。彼には自分を殺す動機がある。
殺人を遂行させた後、殺人犯とさせない形で──。
幹部候補を対象にした、保養所での“お見合い研修”に梶間以下、4人の若手社員を招集。日向の思惑通り、舞台と仕掛けは調(ととの)った。あとは、梶間が動いてくれるのを待つだけだった。だが、ゲストとして招いた一人の女性の出現が、「計画」に微妙な齟齬(そご)をきたしはじめた……。
<著者のことば>
推理小説とは、事件発生と解決を描いた読み物です。その事件が「起きるまで」を丁寧(ていねい)に書こうと思いました。実際に書いてみると被害者も、犯人も、探偵も、みんなそれぞれに努力していることがよくわかりました。あなたは、誰に共感してくださるでしょうか?


『扉は閉ざされたまま』の碓氷優佳が登場し、探偵役――と言うのが正しいかどうかはよく判らないが――を務める。シリーズと言うには、つながり方が弱いようにも思われるが・・・・・。
著者のことばにあるように、事件が「起きるまで」の物語なので、作品中で誰かが殺されることはないのだが、そこに至るまでの、殺す側、殺されようとする側の思考の過程が、カムフラージュとも言える幹部候補生お見合い研修の様子に絡めて丁寧に描かれていて飽きさせない。
殺されようとする者の意志がなければ、おそらく誰にも気づかれなかったであろう優佳の邪魔作戦のあれこれが、あまりにも論理的で、前作を読んでいるせいで切なささえ感じさせられた。





はじまり

 静岡県熱海市の消防本部に一一九番通報があったのは、一月十三日の午前七時四十七分だった。
 通報の主は、株式会社ソル電機の小峰と名乗った。ソル電機は、、熱海市内に保養所を持っている。小峰某は、その保養所から救急車の出動を要請していた。
 保養所内で、人が死んでいるというのだ。

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