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首都直下地震*柘植久慶

  • 2008/11/12(水) 13:25:18

首都直下地震“震度7” (PHP文庫)首都直下地震“震度7” (PHP文庫)
(2006/01)
柘植 久慶

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「東京大空襲どころじゃない。やられている範囲が桁外れだ!」 深夜の震源地を飛ぶ偵察機の搭乗員が叫んだ。眼下の火災は旋風となって急速に燃え広がり、上空では火柱が1本と化して周囲の空間を焼き尽くしている――。
平成XX年2月冬、東京湾北部を震源とするマグニチュード8.1<震度7強>の猛烈な地震が首都東京を直撃した。耐震性が高いとされた住宅・マンションが倒壊し、道路を塞ぐ大量の自動車事故が導火線となって、炎は際限なく広がっていく。都心では大量の帰宅困難者が発生し、脱出を試みる避難民が次々と炎に飲み込まれる。死者15万人、行方不明者10万人、死傷者の合計は100万人。今まさに時を超えて、関東大震災と同じかそれ以上の災禍が繰り返されようとしている。
本書は、政府の予想数字を遥かに上回る、未曾有の大震災をシュミレートした衝撃の近未来ノベル。東京はこの衝撃<インパクト>に耐えられるか!?
文庫書き下ろし。


真冬の帰宅ラッシュ時、そして夕飯の準備で火を使う時間、しかも、江戸時代までは海だったところを埋め立ててできた地盤の弱い場所を震源とする巨大地震が発生した。場所も季節も時間帯も最悪を選んで起きたような大地震である。
首都東京のさまざまな場所の地震発生直前からその瞬間の状況が実況中継のように描かれていて、震えあがる。関東大震災時と違い、自動車事故やそこから派生する火災によって、幹線道路は防火壁の役割をなさず、それどころか火災をさらに広げる原因にさえなっている。消火活動も救護活動も不可能に近い。
普段からの備えと、心がまえ、そのときの咄嗟の判断力の有無がまさに生死を分けるのだということがよく判る。
自分のこととして、真剣に考えなければならないことだと改めて思わされる。




はじまり

       第一章 平成××年二月××日

 伊勢景子と仲子は二八歳と二六歳の姉妹である。二人は千葉市と横浜市に住み、どちらも社会人として活躍していた。一方は新聞記者、他方は証券系の会社に勤める。
 一八〇〇時近くなり、週末実家に帰るかどうか打ち合わせるため、景子は仕事が一段落したところで電話をかけてみる。仲子も残業を前に休憩中だった。

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