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気をつけ、礼。*重松清

  • 2008/11/16(日) 16:39:21

気をつけ、礼。気をつけ、礼。
(2008/08)
重松 清

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センセ、オトナには、なして先生がおらんのでしょう。僕はあの頃の先生より歳をとった。それでも、先生はずっと僕の先生だった…。人生で最初に出会う大人、教師との、ほろ苦く、温かい思い出が蘇る感動短篇集。


表題作のほか、「白髪のニール」 「ドロップスは神さまの涙」 「マティスのビンタ」 「にんじん」 「泣くな赤鬼」

どの物語も、教師と生徒の関係を描いたものだが、その関係のありようはさまざまである。担任だったり、保健室の先生だったり、教科担当の先生だったり、部活の顧問だったり。また、リアルタイムだったり、過去を振り返っていたり、大人になって再会したり。状況もさまざまである。
ただ共通しているのは、そこに流れる明るいだけではない雰囲気である。それぞれに、なんらかの負の感情が流れる物語なのである。そして、その部分に揺さぶられるものがあるのも確かである。
人間の弱さや残酷さ、やりきれなさややさしさなど、さまざまな感情を刺激されるような気がする。
いちばん印象深かったのは「にんじん」だった。




はじまり

       「白髪のニール」
         1

 教室を出たところを呼び止められた。友だちの声ではなかった。オトナの――教師の声だった。それだけで、どきっとする。思わず首を縮めると、ケースに入れて肩にかけていたギターがバランスをくずし、ネックが頭に当った。




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気をつけ、礼   ~重松 清~

重松さんの新作は 教師と生徒の関係を描いた短編集。 教師って完璧ではない。 聖人君子でもないし、神様でもない。 この作品に出てくる...

  • From: My Favorite Books |
  • 2008/11/19(水) 21:55:51

気をつけ、礼 重松清著。

≪★★★≫ もっと大人だと思ってた先生、絶対に正しくて畏れや尊敬の象徴だった先生。先生と生徒という関係のあの頃が懐かしく思い出される短編集。 先生って、担任だからって、先生だからって誰でも尊敬したわけでもないし、好きだったわけでもないのに、あの頃の数年間...

  • From: じゃじゃままブックレビュー |
  • 2009/03/04(水) 22:57:21

この記事に対するコメント

『にんじん』は読んでて苦しくなりました。
誰にでも負の気持ちはあるんだけど、
なんだか、本当に苦しくなる作品でした。
でも、誰にでも教師との思い出はある。
それが楽しくても辛くても。
でも、出来れば楽しい思い出が多いほうがいいですよね。

  • 投稿者: す〜さん
  • 2008/11/19(水) 21:57:44
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「にんじん」ほんとうに苦しかったですね。
生徒の苦しみではなく、教師の苦しみにスポットを当てたところが、斬新でした。

学校って、つくづく特別な場所なのだと思わされもしました。

  • 投稿者: ふらっと
  • 2008/11/20(木) 06:44:28
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同じく「にんじん」は印象深いですね、でも嫌いなんですよね~。
先生も罰してもらえたことで区切りがついたかもしれないですが、痛いところを突いちゃうにんじんの一言は、どうにもこちらの心にぐさっときました。

  • 投稿者: じゃじゃまま
  • 2009/03/04(水) 22:59:28
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「負」の感情を強く持つ物語たちでしたね。
特に「にんじん」はそれが強かったかもしれません。
いままで見えなかった角度から垣間見えた学校という閉鎖社会が、怖くもありました。

  • 投稿者: ふらっと
  • 2009/03/05(木) 06:39:06
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