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不連続の世界*恩田陸

  • 2008/11/24(月) 20:27:39

不連続の世界不連続の世界
(2008/07)
恩田 陸

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音楽ディレクター塚崎多聞のフランス人の妻ジャンヌが突然、里帰りし、そのまま音信不通になって、そろそろ1年になろうとしていた…。「月の裏側」の塚崎多聞、再登場。詩情と旅情あふれる、恩田陸版「怖い話」。


「木守り男」 「悪魔を憐れむ歌」 「幻影キネマ」 「砂丘ピクニック」 「夜明けのガスパール」

私の初読み恩田作品で、ちょっと苦手だった『月の裏側』で魅力的だった多聞さんが主人公の短編集である。やはり魅力的な多聞さんである。誰にでも開かれているのに、深いところでは閉じていて手の内を見せない、いささかとらえどころのないような魅力である。そんな彼が、見聞きする不思議でちょっと怖い話に筋道を与える物語たち。
と思っていたら、最後の話で裏表がひっくり返されたような心地である。いままで見えていたものが、裏返ってまったく違った景色のもとに放り出されたような心許なさである。そうだったのか・・・。




はじまり

       「木守り男」

 マンションを出て住宅街を抜け、踏切を越えるとそこはもう川べりだ。
 都会の川のせいか、あまり存在感はない。もう少し大きな川であれば、近づくにつれなんとなくその気配を感じるものなのに、ちょろちょろとコンクリートの大きな溝の底のほうで澱んでいる川は、すっかり飼いならされてあきらめているように見える。
 川は連続している。
 多聞はいつも川べりを散歩する度にそう考える。




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ぱんどらの本箱
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【不連続の世界】 恩田陸

大手レコード会社のプロデューサー、塚崎多聞が行く先々で遭遇する不思議な話。トラベルミステリーとしても読める中編5編。 不連続の世...

  • From: ぱんどらの本箱 |
  • 2008/11/25(火) 14:28:11

不連続の世界 恩田陸著。

≪★★★≫ なんとかついていけた。 多聞の身の回りで起こる不思議な出来事。それは説明がついたりつかなかったり。よく分からないけど、そういうことにしておきましょうか、みたいな。 彼が散歩する川べりの道で見かけるこもり男。70年代ハウスが見させる夢の話や川で?...

  • From: じゃじゃままブックレビュー |
  • 2008/11/28(金) 23:48:12

この記事に対するコメント

「月の裏側」多分読んでると思うんですけど、多聞さん忘れてました。
ジャンヌとはすでに結婚してたんですね。(爆)
不思議だけど、なんとかまだついていけた作品でした。

  • 投稿者: じゃじゃまま
  • 2008/11/28(金) 23:50:18
  • [編集]

『月の裏側』は、初恩田作品で、ただ気味悪いという印象しかなくて
恩田さんとは相性が悪いのでは、としばらく次に手が出なかったのだけれど
いまとなっては、一作で諦めなくてよかったです。

多聞さんだけは、そのときから好きでした。

  • 投稿者: ふらっと
  • 2008/11/29(土) 11:31:44
  • [編集]

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