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さようなら、コタツ*中島京子

  • 2008/12/05(金) 17:22:13

さようなら、コタツさようなら、コタツ
(2005/05/19)
中島 京子

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ささやかな夢をたくしたこの部屋に思いがけず訪問者はやってくる―。人生はせつなくて。おかしくて。いとしくて。さまざまな手触りの人間模様を描いた7つの物語。1つ1つが味わい深い上質の短編小説集。


表題作のほか、「へやのなか(短いまえがき)」 「ハッピー・アニバーサリー」 「インタビュー」 「陶器の靴の片割れ」 「ダイエットクイーン」 「八十畳」 「私は彼らの優しい声を聞く」

さまざまな部屋の中で営まれるさまざまな人間たちの生きる様の物語である。
部屋も、その主も、訪れる人々も、それぞれにまったく違っており、出会いあり別れあり、思い出あり・・・と状況もさまざまなのだが、どこかしら似た空気が漂う物語たちである。
胸に開いた穴を埋めようとするような、足りない部分を求めるような、さみしさのような切なさのようななにかに覆われているような心地がする一冊なのだった。




はじまり

       「へやのなか(短いまえがき)」
 二十代で初めてひとり暮らしをした部屋は、中野車庫のそばの三階建てアパートだった。海抜が低いらしく、台風が来ると必ず大水が出て、バス通りが川のようになるのを三階のベランダからのんびり眺めたのを思い出す。

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