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Twelve Y.O.福井晴敏

  • 2008/12/09(火) 17:16:34

Twelve Y.O.Twelve Y.O.
(1998/09)
福井 晴敏

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人生の意義を見失い、日々をただ過ごしていただけの自衛官募集員・平貫太郎は、かつての命の恩人・東馬修一に偶然出会ったことから、想像もつかない日本の地下組織の闇に呑み込まれてゆく。最強のコンピュータ・ウィルス「アポトーシスII」と謎の兵器「ウルマ」を使って、米国防総省を相手にたった1人で脅迫劇を仕掛け続ける電子テロリスト・トゥエルブとは何者か。彼の最終的な目的は何なのか?絶望感と閉塞感が渦巻く現代を吹き抜ける一大スペクタクル・サスペンス!第44回江戸川乱歩賞受賞作。


タイトルは、マッカーサーの「現代文明をもって測定するなら、我々が45歳だとすると、日本人は、12歳の少年のようなものである。」という言葉に由来する。

ちょっと苦手な分野の読書だった。途中で何度かやめようかと思いながら、何とか読み終えた。日米双方の思惑のために、いとも簡単に命をやりとりする光景には、どうしても馴染むことができない。
日米と周辺諸国の一触即発の危うい均衡と、国益を護る攻防を描きながら、突き詰めるとひとりの父と息子の物語である。そこに国家の機密やら、重大任務やらが絡んでくるのが腑に落ちなくもあるのである。国を巻き込まず、一対一で突き詰めたらいいではないか、と。





はじまり

       序

 低く、厚く、この世界に蓋をしているかのような雲は、靄った水平線で海と溶け合っていた。そこに朝焼けの亀裂が入って茜色の光をぱらりと海面に散らしているのだった。

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