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21 twenty one *小路幸也

  • 2008/12/13(土) 16:45:47

21 twenty one21 twenty one
(2008/06)
小路 幸也

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中学校入学の日、担任になった先生が僕たちにこう言った。「ここにいる21人が今日から卒業までの仲間です。そして、なんと21世紀に、21歳になる仲間です」なんでもない、他愛もない、ただの偶然。でもその偶然が重なって集まった仲間が21人いる。その事実が僕たちに強烈な連帯感をもたらした。21世紀に、21歳になる21人。僕たちは“21”というもので繋がれた仲間。21・21・21。“twenty one”だ。そして、ずっと変わらない仲間だと、無邪気に信じていた…。なぜ自ら死を選んだ?僕たちに何も告げず。特別な絆で結ばれていると信じていた人を突然喪ったとき、胸に込み上げる思いをどうすればいいんだろう…。大きな注目を集める著者が“生きていく意味”を深く問いかける感動作。


友人の死をきっかけに、かつての仲間が集まって過ごしてきた日々に思いを致す、という状況は、『モーニング』の一世代下バージョンのような物語である。
いまは統合され、なくなってしまった中学校の新入生は21人、1クラスだった。そして、担任の韮山先生が気づいたのだ。21世紀に21歳になる21人だと。21-21-21、twenty oneの仲間なのだった。
先生の気づいたその言葉によってさらに結びつきを強めた21人は、かけがえのない仲間のままで25歳になっていた。そんな夏、仲間のひとり晶が死んだ。自殺だった。知らせを受けた20人は、そのときから、晶と自分たちのことをそれぞれに思い続けるのだった。
なにが晶を死へ駆り立てたのか・・・・・。
知ったからといってなにができるわけでもなく、ただ唇を噛むしかないのだが、だれもがいままでのこと、これからのことを思わずにいられない。
死の理由に、そんなことかと言ってしまうのは容易いが、事柄の重みは人によってすべて違うのだと思い知らされる。そして自分の秤で他人を量ることの無意味さをも実感させられるのである。
死ぬことを選んだ1人と、残されいきつづける20人の、たがいを思いやる心にも胸が熱くなった。




はじまり

       二〇〇五年七月一日 午後九時 糸井凌一

 たとえば、ふと時計を見ると、午後四時四十四分だったり。
 そういう偶然と言うか、なんて言えばいいかわからないものが僕には多く降りかかるんだ。なんの害もないけれど、やっぱりそれは何かがあるんだろうか、と思ってしまう。




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21twenty one 小路幸也著。

≪★★☆≫ 21人のクラスメート。一人の仲間の死によって、それぞれがなにがあったのかと悩み、原因は自分にあるのではないか、と悔やむ仲間もいる。 通夜のためにみんなが集まり、数人の視点やグループの会話から断片的にそれぞれの思いが語られ、特別な絆で結ばれてた...

  • From: じゃじゃままブックレビュー |
  • 2008/12/17(水) 10:30:31

この記事に対するコメント

「モーニング」の一世代下!!本当、その通りでしたよね。
真相が分かる直前にCM、みたいなドラマの流れ同様で、まだかよ、って何度も思ってしまいました。(苦笑)
数年後の彼らは、よかったですね。どんなことがあっても時は流れてるんだな~と。

  • 投稿者: じゃじゃまま
  • 2008/12/17(水) 10:34:25
  • [編集]

数年後の描写には、現実というものの強さを感じさせられました。
生きていれば、さまざまなことがあるけれど
すべて含めて、やはり生きていればこそなのだなぁ、というような。

  • 投稿者: ふらっと
  • 2008/12/17(水) 12:56:46
  • [編集]

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