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どこから行っても遠い町*川上弘美

  • 2008/12/31(水) 16:21:39

どこから行っても遠い町どこから行っても遠い町
(2008/11)
川上 弘美

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捨てたものではなかったです、あたしの人生――。男二人が奇妙な仲のよさで同居する魚屋の話、真夜中に差し向かいで紅茶をのむ「平凡」な主婦とその姑、両親の不仲をじっとみつめる小学生、裸足で男のもとへ駆けていった魚屋の死んだ女房……東京の小さな町の商店街と、そこをゆきかう人びとの、その平穏な日々にあるあやうさと幸福。川上文学の真髄を示す待望の連作短篇小説集。


表題作のほか、「小屋のある屋上」 「午前六時のバケツ」 「夕つかたの水」 「蛇は穴に入る」 「長い夜の紅茶」 「四度目の浪花節」 「急降下するエレベーター」 「濡れたおんなの慕情」 「貝殻のある飾り窓」 「ゆるく巻くかたつむりの殻」

知らないのに知っているような心地にさせられる、どこか懐かしい町に暮らす――あるいは通りかかる――人々の、取り立てて言うほどのことはないが、それでいて奥にはひとにぎりの危うさが潜んでいるような日々の物語である。
ものすごく個人的でありながら、どこか普遍的でもあるような、不思議な雰囲気が漂う一冊だった。

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