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森に眠る魚*角田光代

  • 2009/02/19(木) 19:00:48

森に眠る魚森に眠る魚
(2008/12)
角田 光代

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東京の文教地区の町で出会った5人の母親。育児を通してしだいに心を許しあうが、いつしかその関係性は変容していた。―あの人たちと離れればいい。なぜ私を置いてゆくの。そうだ、終わらせなきゃ。心の声は幾重にもせめぎあい、壊れた日々の亀裂へと追いつめられてゆく。


何とかいまの侘しい生活から抜け出し、都会のお洒落なマンションで素敵な暮らしをしたいと、できる限りの節約をしてお金を貯めているところに義父の突然の死で幾ばくかの現金が手に入り、念願のマンション暮らしを始めた、繁田繭子。大学の四年間は東京に居はしたが寮暮らしで、結婚して東京に住むようになってやっと素晴らしい未来を手にしたと思えるようになった、久野容子。息子を母に預け、スポーツクラブで汗を流す、高原千花。高校生のころ、学校に馴染めず摂食障害になり、心を癒すために入った会で知り合った男性と結婚した、小林瞳。モデルルームのようなマンションで家族と暮らしながら、かつて働いていた出版社の上司だった男性と不倫をしている、江田かおり。
同じ幼稚園に通う子どもを通して、あるいは、同じマンションに住む住人同士という縁で、そしてまた、同じ産婦人科に通う妊婦同士としての縁で知り合い、憧れたり、惹かれたり、心強く思ったり、いい友人に恵まれたとしあわせを感じるときもあったのに、彼女たちの関係はいつの間にか何かに蝕まれるように変わっていくのだった。
文京区音羽事件がモチーフになっているとも言われる。たしかに、この事件の犯人の犯行に至るまでの心の葛藤はこんな風だったか、と思わされる部分も多い。だが、それだけではなく、女同士の関係性の難しさや、理想と現実のギャップ、集団の中で自分らしくあることの難しさなど、さまざまな要素が絡み合って成り立つ物語である。
女たちの胸のうちの呟きがリアルで、ときに胸を締めつけられるような心地でもあり、貪るように読み進んだ。
著者らしい一冊だと思う。




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読書・映画・ドラマetc覚書

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  • 2009/09/23(水) 15:02:42

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