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ファミリーポートレイト*桜庭一樹
- 2009/05/08(金) 17:02:20
![]() | ファミリーポートレイト (2008/11/21) 桜庭 一樹 商品詳細を見る |
あなたとは、この世の果てまでいっしょよ。呪いのように。親子、だもの。
直木賞受賞後初の書き下ろし長編1000枚。
全身全霊感動のエンディングを迎える、恐るべき最高傑作!
ママの名前は、マコ。マコの娘は、コマコ。うつくしく、若く、魂は七色に輝く、そしてどうしようもなく残酷、な母の“ちいさな神”として生まれた娘の5歳から34歳までを描く。
怒涛のごとき展開と濃密な物語に圧倒されながらページを繰る手が止まらない第一部「旅」、紙上の文字がいまにも叫び出しそうな言葉の力に溢れ、この作品を同時代に読めた喜びに震える第二部「セルフポートレイト」――二部構成となる本書は、進化と深化が止まらないモンスター作家・桜庭一樹の新たな金字塔となった! 面白くて、どこまでも凄い!!!
「第一部 旅」と、「第二部 セルフポートレイト」とで語られる、駒子の5歳から34歳までの物語である。
第一部では、ママであるマコとその子であるコマコは、マコの現実の罪から逃げ伸びるために旅を続ける。その行く先々での事々が、自称情緒の発達が遅れており、喋ることができないコマコの心の声として語られる。マコはときに、自分の哀しみをぶつけるようにコマコを虐待するが、コマコにとってはマコが世界のすべてなので、マコを満たすためにされるがままで自分を消すようになる。
第二部では、突然のマコの不在によって世界に放り出されたコマコが、マコを求めながらも物理的にはその呪縛から解き放たれ、その心許なさと我が身の置き所のなさにもがきながらも、少しずつ形のある何者かになっていく様が描かれる。
ページのそこここから立ち上るぴりぴりとした緊張感に刺され、無気力で自堕落な喩えようのないだるさに打ちのめされ、ほんの幽かな光に必死にすがろうとすると、あっけなく闇に引き戻されるような心地の読書だった。
マコとコマコ、がいつのまにかコマコとマコ、に変わっていたように、自分の裡にマコを同化させながら、ラストの場面の後もコマコは生きていくのだろう。それでもマコを愛し続けて。
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「ファミリーポートレイト」桜庭一樹
ファミリーポートレイト(2008/11/21)桜庭 一樹商品詳細を見る ママの名前は、マコ。マコの娘は、コマコ。すなわち、それがあたし。あなたの人生...
- From: しんちゃんの買い物帳 |
- 2009/05/21(木) 23:13:22
『ファミリー・ポートレイト』 桜庭一喜
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- 2009/05/24(日) 10:01:18
ファミリーポートレイト<桜庭一樹>-(本:2009年読了)-
ファミリーポートレイトクチコミを見る # 出版社: 講談社 (2008/11/21) # ISBN-10: 4062151324 評価:84点 重く深く激しい一冊。 そもそも厚い本なのだが、内容の濃密さにも圧倒されてなかなか進まない。読んでも読んでも終わりに近づかない感じだった。本を読...
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この記事に対するコメント
ふらっとさん☆おはようございます
マコもコマコも「無頼」という言葉が似合う人たちだなぁと思いました。
桜庭さんはマコのような子供時代だったのかなぁ?
読書範囲の広さが凄いですよね!
ほんとうに、読んでいない本はないくらいの勢いでしたね。
ジャンルも多岐に渡っていて、著者の姿が投影されているのかしら、と思いました。