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乱反射*貫井徳郎

  • 2009/06/02(火) 21:49:25

乱反射乱反射
(2009/02/20)
貫井 徳郎

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ひとりの幼児を死に追いやった、裁けぬ殺人。街路樹伐採の反対運動を起こす主婦、職務怠慢なアルバイト医、救急外来の常習者、事なかれ主義の市役所職員、尊大な定年退職者……複雑に絡み合ったエゴイズムの果てに、悲劇は起こった。残された父が辿り着いた真相は、罪さえ問えない人災の連鎖だった。遺族は、ただ慟哭するしかないのか? モラルなき現代日本を暴き出す、新時代の社会派エンターテインメント!


「-44」というチャプターから物語は始まる。
ある町に暮らす平凡な市民――定年後犬を飼い始めた男、虚弱体質の大学生、娘に存在意義を認められたくて社会正義を主張する主婦、責任を負いたくなくてアルバイトに甘んじている夜間救急の内科医、市役所の道路課の職員、潔癖症の造園業者、過保護の母親から逃れて隣町に一家を構えた新聞記者…――のどうということもない日々が綴られる。そして、物語はじりじりとチャプター「0」に近づいていく。
「0」では、罪のない二歳児が、強風に突然倒れてきた街路樹の下敷きになって命を失う。
そこから数を増やしていくチャプターでは、幼い息子を失った新聞記者の父が、理不尽な思いを抱きながら、実りのない責任者探しをする姿が描かれる。そして、あちこちに乱反射を繰り返した光が、最後の最後に照りつけたのは・・・・・。

終わりのないドミノ倒しを見ているような、責任者探しの光景が印象的である。二歳児・健太の死の原因のひとつを作った人たちのあまりの無自覚に、憤りを覚えることもあるが、自分でも絶対にやらないとは言い切れないこともあったりして、そのことが引き起こす結果に背筋が寒くなったりもする。
一人ひとりの無自覚が、とんでもない悲劇を生むこともあるということを、考えさせられる一冊でもあった。







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じゃじゃままブックレビュー

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乱反射 貫井徳郎著。

≪★★★≫ それぞれが無関係に見える、小さなモラル違反。それが小さな男の子の命を奪った。 前半は、彼らの描写から始まり、遅々として進まない物語にちょっと辟易。これがどんな風に繋がっていくのか、はやる気持ちでページをめくった。 街路樹の脇にいつも犬の糞をさ?...

  • From: じゃじゃままブックレビュー |
  • 2009/06/29(月) 14:35:19

この記事に対するコメント

一人一人の無自覚無責任な行動が、こんな悲劇を生むなんて。
でも、自分の些細な行動が起した出来事の責任を日々考えながら生活なんて、なかなかできないですよね。うっかり忘れてしまうし。だからこれは、読後、うっ!と考えさせられました。まるであの父親のように。

  • 投稿者: じゃじゃまま
  • 2009/06/29(月) 14:40:19
  • [編集]

ほんとうに、うっかりしたことはできないなぁ…と思わされる一冊でした。
でも、たとえばいま蹴った石が、誰かの運命を左右することがあるかもしれないなんて、普通は考えないですものね。

  • 投稿者: ふらっと
  • 2009/06/29(月) 17:01:53
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