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行方不明者*折原一

  • 2009/08/04(火) 06:59:57

行方不明者行方不明者
(2006/08)
折原 一

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埼玉県蓮田市で、ある朝、一家四人が忽然と姿を消した。炊きたてのごはんやみそ汁、おかずを食卓に載せたまま…。両親と娘、その祖母は、いったいどこへ消えたのか?女性ライター・五十嵐みどりは、関係者の取材をつうじて家族の闇を浮き彫りにしてゆく―。一方、戸田市内では謎の連続通り魔事件が発生していた。たまたま事件に遭遇した売れない推理作家の「僕」は、自作のモデルにするため容疑者の尾行を開始するのだが―。


蓮田市の一家消失事件と、戸田市の連続通り魔事件が、まったく別々に描かれるので、はじめは視点の転換に少々戸惑う。さらに、過去の一場面がフラッシュバックのようにはめ込まれるので、自分がどの時間軸に立っているのか、一瞬混乱させられる。戸田市の事件では、事件を追う推理作家自身が、度々夢なのか現実なのか区別がつかない状態に陥るので、読者も共に惑わされるのである。
やがてふたつの事件は一本になっていくのだが、賦に落ちるという感覚よりも、薄ら寒さが先に立つのは、事件のありようのせいだろうか。

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