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てのひらのメモ*夏樹静子

  • 2009/08/31(月) 19:20:36

てのひらのメモてのひらのメモ
(2009/05)
夏樹 静子

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広告代理店で働くシングルマザーの種本千晶は、社内でも将来を有望視されているディレクターだった。彼女には喘息で苦しむ保育園児がいたが、大切な会議に出席するため子供を家に置いて出社し、死なせてしまう。子供に傷などもあり、検察は千晶を「保護責任者遺棄致死罪」で起訴。有罪になれば、三年以上二十年以下の懲役刑となる。市民から選ばれた裁判員たちは、彼女をどのように裁くのか?そして読者の貴方は、有罪無罪どちらに手を挙げるか?法曹関係者もうならせたリーガルサスペンス。


辞退する理由に当てはまらなかったので、あまり深く考えることもなく裁判員として、東京地検に赴いた五十七歳の専業主婦・折川福実の目を通して見た、ある裁判の模様である。
裁判員制度普及のための教科書のようだ、というような批評も目にするが、物語自体はとてもリズムよく、裁判員の役割もわかりやすく、裁かれる事件の内容も身近で、惹きこまれるようにページを捲った。自分だったらどう判断するだろうか、と否応なく考えさせられ、またこれほど客観的に検察側弁護側の主張を考え抜けるだろうか、と自信を失いもするのだった。たまたまその裁判で裁判員を務めることになった人たちの経験値によって、判決が変わることもあり得るのではないかと感じ、一抹の怖ろしさと、それゆえの責任の重さをも痛感させられた。

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