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私の赤くて柔らかな部分*平田俊子

  • 2009/09/27(日) 16:44:22

私の赤くて柔らかな部分私の赤くて柔らかな部分
(2009/07/31)
平田 俊子

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失恋の痛みをかかえ、私はある日突発的に旅に出る。終着駅に辿りついた私は、帰るきっかけを失って……。生きることのよるべなさと虚実ないまぜのマジカル世界。言葉の魔術師・平田俊子の新境地!


七月七日に亡くなった信頼する上司のお別れの会が九月九日にあった。彼に会えるかもしれないと来てみたが、会えるはずもなく、まなみはふらりと会場を抜け出し、そのままふらりといつも乗らない電車に乗った。たまたま降り立った知らない町は、なにもかもが見知らぬもので頼りなかったが、駅から離れたステーションホテルの一室をなかなか立ち去ることができなくなるのだった。
お子様ランチが主なメニューの上田食堂の上田宇枝、ホテルのフロントマン八十八(やどや)、その弟の照穂、犬が吠える店。寄る辺ない町で、行きずりの女から少しずつ変容しながら、まなみは自分の中の何かをあきらめ、何かと折り合いをつけられたのだろうか。
現実と妄想のあわいを行ったり来たりするような、ふわふわとした心許なさと、赤をモチーフにしたむき出しの痛みとが、ときに痛く苦しく、ときに心地好く感じられる不思議な味わいの一冊だった。

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