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静子の日常*井上荒野

  • 2009/10/02(金) 10:02:22

静子の日常静子の日常
(2009/07)
井上 荒野

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何かが過剰で、何かが足りないこの世の中今日も出くわす“ばかげた”事象を宇陀川静子・七十五歳は見過ごさない―チャーミングで痛快!直木賞作家の最新長篇小説。


身長百五十五センチ、ふわっと太っていて色白で、緩くパーマをかけて短めに揃えた髪の毛は、もうすっかり真っ白になっている。そんな七十五歳の静子の日常を描いた物語である。
同居する息子の嫁とも孫娘とも割合にいい関係で、フィットネスでもみんなに声をかけられる。ふわふわと人当たりの良い印象の静子だが、胸のなかにはもやもやとした事々を抱えていないこともない。夫ありし頃は夫の妻として生き、夫亡き後、「行きたいところへはどこへでも行ける」と思い定め、ささやかな気ままさで生きてはいるが、割り切れない苛立ちや寂しさもないわけではない。痛快というにはささやかすぎる自由を静子なりに泳ぎ渡っているような印象の物語である。しあわせの切なさをも感じられる一冊である。

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