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刻まれない明日*三崎亜記

  • 2009/10/27(火) 07:14:16

刻まれない明日刻まれない明日
(2009/07/10)
三崎 亜記

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開発保留地区――10年前、街の中心部にあるその場所から理由もなく、3095人の人間が消え去った。今でも街はあたかも彼らが存在するように生活を営んでいる。

しかし、10年目の今年、彼らの営みは少しずつ消えようとしていた。

大切な人を失った人々が悲しみを乗り越え新たな一歩を踏み出す姿を描く。


『失われた町』の続編とまでは言えないかもしれないが、同じ次元に立つ物語である。前作ではあとに消化不良感が残ったが、本作ではそれはない。3095人の消えた人々の残された関係者たちが、十年前の消失を忘れずにおり、さまざまな手段や形で十年前と現在とを繋ぎ合わせているからかもしれない。
「終わりは始まり」というテーマのとおり、消えていくものを見守り見送ることと、新しく出会いはじまることが同時に描かれていて、失った哀しみだけではなく、これから生み出していく明るさも孕んでいるのがよかった。
いつもの三崎流で、現実の世界とは微妙にズレているものの、ブレてはいない一冊だった。




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「刻まれない明日」三崎亜記

刻まれない明日(2009/07/10)三崎亜記商品詳細を見る 開発保留地区――10年前、街の中心部にあるその場所から理由もなく、3095人の人間が消え去った...

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  • 2009/11/12(木) 23:11:22

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