不安な産声*土屋隆夫

  • 2009/12/03(木) 13:51:48

不安な産声[新装版] (光文社文庫)不安な産声[新装版] (光文社文庫)
(2003/05/13)
土屋 隆夫

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大手薬品メーカー社長宅の庭で、お手伝いが強姦・絞殺された。容疑者として医大教授・久保伸也の名が挙がり、犯行を自供する。名誉も地位もある男がなぜ? しかも、久保にはアリバイがあり殺害動機もなければ証拠もない。担当検事・千草がみた、理解を超える事件の裏に隠された衝撃の真相とは…?斬新な手法を駆使した日本推理小説史上に残る記念碑的作品。


強姦殺人事件の犯人として拘留中の産婦人科医師・久保が担当検事・千草に宛てた上申書、という形体を取る物語である。早い時点で犯行を自供した久保であったが、たまたま殺人事件が起きて間もない現場を通りかかった千草の職業的な勘によって、久保が隠しとおしたかった真の動機を述懐させることに成功したのだが、最後には、真犯人の久保でさえ想像もしなかった驚愕の真実が待ち構えているのである。
人工授精という厳粛な問題をテーマに据え、人の弱さとしたたかさ、幸福の絶頂と裏腹な罪の意識を描いて見事である。読み応えのある一冊だった。

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