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球体の蛇*道尾秀介

  • 2009/12/19(土) 11:28:28

球体の蛇球体の蛇
(2009/11/19)
道尾 秀介

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1992年秋。17歳だった私・友彦は両親の離婚により、隣の橋塚家に居候していた。主人の乙太郎さんと娘のナオ。奥さんと姉娘サヨは7年前、キャンプ場の火事が原因で亡くなっていた。どこか冷たくて強いサヨに私は小さい頃から憧れていた。そして、彼女が死んだ本当の理由も、誰にも言えずに胸に仕舞い込んだままでいる。乙太郎さんの手伝いとして白蟻駆除に行った屋敷で、私は死んだサヨによく似た女性に出会う。彼女に強く惹かれた私は、夜ごとその屋敷の床下に潜り込み、老主人と彼女の情事を盗み聞きするようになるのだが…。呑み込んだ嘘は、一生吐き出すことは出来ない―。青春のきらめきと痛み、そして人生の光と陰をも浮き彫りにした、極上の物語。


冒頭に、『星の王子さま』の中のゾウを呑み込んだウワバミの逸話が載せられており、それがこの物語を象徴している。呑み込んだものの真実は、ウワバミ自身にしかわからない。
乙太郎さんの葬儀に向かう現在の友彦が、十六年前の少年時代を思い出すという形の物語である。その思い出は、高校生という輝かしい時代であるにもかかわらず、どうにもならない哀しさにあふれていて読む者の胸の裡を切なさで満たす。思いやりから出た嘘が、勘違いから出た嘘が、人をこうまで縛るのか。一度狂った歯車は、二度と元に戻せはしないのか・・・。ラストの明るい未来にさえ、嘘の影が寄り添っているのか。影を消すほどの光が、ふたりに降り注ぐことを祈らずにいられない。




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球体の蛇 道尾秀介著。

≪★★★≫ 16年前の出来事を思い出しながら、葬儀のためにかつての町へ向かう。 母が家を出て、父とは親子の絆を感じないまま、隣家で下宿人になっている友彦。 白蟻駆除の会社をたった一人で経営している乙太郎小父の手伝いをしながら、二つ年下の幼なじみのナオと三...

  • From: じゃじゃままブックレビュー |
  • 2010/05/07(金) 11:09:00

この記事に対するコメント

嘘と誤解の連鎖でしたね。
私はラストに、救いの光を見た気がしたんですけど。そうであって欲しいです。
智子の人生ってなんだか哀れで・・・。

  • 投稿者: じゃじゃまま
  • 2010/05/07(金) 11:11:07
  • [編集]

まったく連鎖としか言いようがないですね。
救いの光、じゃんじゃん降ってほしいです。

  • 投稿者: ふらっと
  • 2010/05/07(金) 13:13:22
  • [編集]

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