きりこについて*西加奈子

  • 2009/12/22(火) 18:44:54

きりこについてきりこについて
(2009/04/29)
西 加奈子

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きりこは両親の愛情を浴びて育ったため、自分がぶすだなどと思ってもみなかった。小学校の体育館の裏できりこがみつけた小さな黒猫「ラムセス2世」はたいへん賢くて、しだいに人の言葉を覚えていった。ある事件がきっかけで引きこもるようになったきりこは、ラムセス2世に励まされ、外に出る決心をする。夢の中で泣き叫んでいた女の子を助けるために…。美しいってどういうこと? 生きるってつらいこと? きりこがみつけた世の中でいちばん大切なこと。最新書き下ろし長編小説。


きりこの容姿は、言い表す言葉を見つけるのが難しいほど一般的な「美」から外れている。要するに「ぶす」である。だが、両親(パァパとマァマ)はこの上なく愛娘・きりこのことを可愛がり、あふれんばかりの愛を注いで育てたので、周りの反応がどうあれ、きりこ自身は自分がぶすだなどとはこれっぽっちも思わず、思春期のある出来事までは、いちばん可愛いのだと思っていた。価値観を覆され、引きこもり、予知夢を見て立ち上がり、自分を取り戻す過程をすべて見ていたのは、賢い黒猫ラムセス2世だった。
唯一無二の自分であること、容れ物ではなく中身で判断すべきだということ、心の声に従うことが自分を大切にすることであるということ、惜しみない愛は強いということ。さまざまな教訓が含まれているのだが、説教臭いわけではなく、自分を見つめ直してみようという心地にさせられる一冊である。

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