静かにしなさい、でないと*朝倉かすみ

  • 2010/01/17(日) 16:43:29

静かにしなさい、でないと静かにしなさい、でないと
(2009/09)
朝倉 かすみ

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自作自演の子犬救出劇を同級生に目撃され、転落していく美少女。カード破産しながらもロハス生活を実践しつづけるカップル。短命の家系に生まれた夫の「ぽっくり」を恐れる中年初婚夫婦etc…「わたし」という容れ物の限界に翻弄される人たちの、哀しくも可笑しい自意識を描いた傑作。


「内海さんの経験」 「どう考えても火夫」 「静かにしなさい」 「いつぞや、中華飯店で」 「素晴らしいわたしたち」 「やっこさんがいっぱい」 「ちがいますか」

内容紹介の「哀しくも可笑しい自意識」というのが言い得て妙である。どの物語でも目につくのは劣等感。そして、それに気づかない振りをして高みをみつめる、あるいは認めてしまって「でも」と言い訳をする。形はさまざまだが、自分というものをあるがままで認められない人間の哀しさが詰め込まれた一冊である。人間らしいと言えばこれ以上ないほど人間らしいが、その自縛を解いたらもっと楽に生きられるのに、と思わされもする。

   

 ●内海さんは東京に行った。

 ●断っておくが、始めたのは守彦の方だ。

 ●メロンをひと玉ぶらさげて、あの子の家に向かっている。

 ●度会朔子は大きなまちに、昼、着いた。

 ●インテリアは北欧っぽくしたい、ということで私たちの意見が一致した。
 
 ●山崎夫妻が港町に引っ越してきた。

 ●これでも、ひとを見る目はあるほうです。


それぞれの物語の始まりである。なんとなく味わい深い始まり方である。

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