床屋さんへちょっと*山本幸久

  • 2010/02/18(木) 07:06:08

床屋さんへちょっと床屋さんへちょっと
(2009/08)
山本 幸久

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宍倉勲は二十代半ばで父が興した会社を引き継いだが、十五年後に敢えなく倒産させてしまった。罪悪感をぬぐえないまま再就職し定年まで働き、もうすぐ「人生の定年」も迎えようとしている。だが、そんな勲の働く姿こそが、娘の香を「会社」の面白さに目覚めさせて―「仕事」によって繋がった父と娘を、時間をさかのぼって描く連作長編。


表題作のほか、「桜」 「梳き鋏」 「マスターと呼ばれた男」 「丈夫な藁」 「テクノカットの里」 「ひさしぶりの日」 「万能ナイフ」という八つの連作短編集。

一話ごとに時を遡り、最後の一話は、初話より少し進んだ時に運ばれる。最終話の切なさと温もりと充実感は、この構成ならではだろう。まさに構成の妙である。そして、一話一話がそれぞれとてもいい。床屋という、至極個人的で無防備な場所が、そこここでキーになり、床屋さんの思い出と、そこから引き出される来し方のあれこれが、自然に撚り合わされていて、読者をほのぼのとさせたり、涙を誘ったりするのである。ほろっと切なく、あたたかい一冊だった。




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じゃじゃままブックレビュー

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床屋さんへちょっと 山本幸久著。

≪★★★☆≫ 宍倉勲は、父から受け継いだ製菓会社を倒産させてしまった後、繊維会社に再就職し、定年まで勤め上げた。 隠居生活を送っている勲たち夫婦の元へ、一人娘の香が孫を連れて実家に戻ってきた。 そこから勲と香、家族の物語は始まる。そして章を追うごとに過去?...

  • From: じゃじゃままブックレビュー |
  • 2010/02/20(土) 23:13:01

この記事に対するコメント

山本さん、書くたびにうまくなりますね
しかも「山本テイスト」を残しつつも
いつもスタイルの変化を模索し、新しいテーマに挑戦するという姿勢には
頭が下がります
次回作がまたたのしみです

  • 投稿者: チョロ
  • 2010/02/20(土) 05:29:30
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ほんとうにおっしゃるとおりです。

人気もどんどん上がっているようで
図書館でも借りるまでに長くかかるようになりました。

  • 投稿者: ふらっと
  • 2010/02/20(土) 06:32:53
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どんどん遡っていくので、倒産のところは切なくなりそうで、怖かったんですけど、そんな陳腐な展開ではなく、もっと深いところに染みてきました。
終わり方もよかったですね。あの余韻、なんともいえません。

  • 投稿者: じゃじゃまま
  • 2010/02/20(土) 23:16:37
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山本作品には、基本的に悪人が出てこないけれど、それでも悪い方へことが動いてしまうことがあって、それはとてもやるせないです。
でも、明るい余韻を残して終わるので、登場人物も読者もほっとしますね。

  • 投稿者: ふらっと
  • 2010/02/21(日) 08:33:39
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