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ぼくの歌が君に届きますように

  • 2010/03/16(火) 16:52:47

ぼくの歌が君に届きますように―青春音楽小説アンソロジーぼくの歌が君に届きますように―青春音楽小説アンソロジー
(2009/09)
天野 純希大島 真寿美

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大事なのは、どの楽器を演奏するかじゃない。誰と、どんな演奏をするかだ(天野純希『ティーンエイジ・ライオット』)。きのう、ヴィヴァルディ先生が亡くなったと、アンナ・マリーアが泣きながらわたしのところへ来た(大島真寿美『ピエタ』)。授業や部活で毎日のように使っている音楽室なのに、先輩がいるだけで、全然違う場所みたいに見えた(風野潮『晴れた空に、ブラスが響く』)。港の公園での母の歌を、なぜか、ぼくは、母が自分でつくったものなのだと思い込んでいた(川島誠『カモメたちの歌』)。オープンリールのテープが回り出して、お昼の校内放送のエンディングテーマ、ビートルズの“ハロー・グッドバイ”が流れ出す(小路幸也『peacemaker 1974年の赤星祭』)。ジーサン達は鬼気迫る顔つきで、ギターをかき鳴らし、叫び、ドラムをぶっ叩いた(丁田政二郎『ド派手じゃなけりゃロックじゃない!』)。


音楽をキーワードにした、青春物語。ジャンルは違っても、心をこめて奏でる音楽には人に何かを伝える力がある。多勢に、仲間たちに、そしてたったひとりに。痛快なものあり、もの悲しく切ないものあり、テイストもさまざまだが、気持ちのいい一冊だった。

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