光媒の花*道尾秀介

  • 2010/04/28(水) 16:46:34

光媒の花光媒の花
(2010/03/26)
道尾 秀介

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印章店を細々と営み、認知症の母と二人、静かな生活を送る中年男性。ようやく介護にも慣れたある日、幼い子供のように無邪気に絵を描いて遊んでいた母が、「決して知るはずのないもの」を描いていることに気付く……。三十年前、父が自殺したあの日、母は何を見たのだろうか?(隠れ鬼)/共働きの両親が帰ってくるまでの間、内緒で河原に出かけ、虫捕りをするのが楽しみの小学生の兄妹は、ある恐怖からホームレス殺害に手を染めてしまう。(虫送り)/20年前、淡い思いを通い合わせた同級生の少女は、悲しい嘘をつき続けていた。彼女を覆う非情な現実、救えなかった無力な自分に絶望し、「世界を閉じ込めて」生きるホームレスの男。(冬の蝶)など、6章からなる群像劇。大切な何かを必死に守るためにつく悲しい嘘、絶望の果てに見える光を優しく描き出す、感動作。


  第一章  隠れ鬼
  第二章  虫送り
  第三章  冬の蝶
  第四章  春の蝶
  第五章  風媒花
  第六章  遠い光


しりとりのように、前章からなにかを掬いとって展開していく連作物語である。どの物語も切なく哀しく寂しく、そして頬を濡らす涙のようにあたたかい。
ひとつの風景のなかに、物語は決してひとつだけではなく、そこにもここにもちりばめられているのだということを改めて思わされた。誰かの物語の背景にも、次の物語の主役になるものが映りこんでいるのである。そして、その物語の背景にもまた同じように、別の物語の主役になるものが映りこんでいるはずなのである。



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じゃじゃままブックレビュー
笑う学生の生活

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光媒の花 道尾秀介著。

≪★★★☆≫ 畏れながら隠し持つ過去の罪、それでも生きていかなければならない人間の悲しさ、強さ。 残酷な物語に慄きながらも、他の章でしっかり生きている姿を垣間見れて、なかなかの読後感のよい物語でした。 「隠れ鬼」 認知症の母を支えながら、父の遺した店で細…

  • From: じゃじゃままブックレビュー |
  • 2010/09/28(火) 11:42:29

到達点ともいえる

小説「光媒の花」を読みました。 著者は 道尾 秀介 6編の短編でもありますが 人物の繋がりが見えてくる連作集ともいえます いやー、道尾さん らしさ が感じられ 堪能できました 「龍神の雨」のような 兄弟、殺人、虐待、孤独・・・ 陰の 暗い部分を描きながら しか...

  • From: 笑う学生の生活 |
  • 2011/07/24(日) 13:30:58

この記事に対するコメント

残酷ながら、どこか救いがありますよね。
他の章で、知ってる人物を求め、救いを探しながら読んでました。本当に、別の物語の主人公が映りこんでて、物語は一つじゃないって、うんうん!って思います。

  • 投稿者: じゃじゃまま
  • 2010/09/28(火) 11:46:51
  • [編集]

>残酷ながら、どこか救いがありますよね。

まさにそうですね。
そのことが不思議な雰囲気をだしているように思います。

  • 投稿者: ふらっと
  • 2010/09/28(火) 13:40:38
  • [編集]

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