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虚報*堂場瞬一

  • 2010/05/18(火) 16:57:44

虚報虚報
(2010/01)
堂場 瞬一

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東日新聞長野支局から東京本社社会部へ異動してきた長妻厚樹は、「ビニール袋集団自殺」を取材していた。何人か集まり、睡眠薬を飲んだ上にビニール袋をかぶって窒息するという手口の自殺が全国で頻発していたのだ。この自殺に有名大学教授のサイトが影響していると週刊誌がスクープ。さらに、この大学教授が記者会見を開いたことで報道は過熱する。社会部キャップの市川博史の指示で取材に駆け回る長妻。しかし、東日新聞は他紙がスクープ記事を出す中、常に遅れをとっていた。追い込まれる市川と長妻。そんなとき、一本の電話が―。守りのミスと攻めのミス、若き記者に降りかかる迷いの一瞬。警察小説の旗手の新境地。


  第一章  発端
  第二章  持論
  第三章  対決
  第四章  冷雨
  第五章  逆襲
  第六章  虚報


新聞記者が毎日どれほど神経をすり減らして取材し、それを記事にしているのかということが現場の空気と共に伝わってくる。そして、そこにも否応なく人間関係のしがらみやら出世欲やらがまとわりついてくるということも。大学教授が殺人教唆(幇助)、に問われるかもしれないという一件は、インターネットの煽りもあってセンセーショナルな展開になり、新聞各社や週刊誌がスクープ合戦を繰り広げるのは当然である。東日新聞は、ことごとく週刊誌に出し抜かれ焦っていたこともあり、若手記者・長妻の功徳欲もあって、裏づけが充分でない記事を載せてしまう。これがタイトルの虚報であるのだが、なにが虚報なのだろうと興味をそそられるのだが、そこにたどり着くまでが長く、その後が尻切れとんぼのようであり、辻褄合わせ的でもあっていささか消化不良といった感じでもある。

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