秘密の花園*三浦しをん

  • 2010/06/30(水) 18:38:54

秘密の花園 (新潮文庫)秘密の花園 (新潮文庫)
(2007/02)
三浦 しをん

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私は、なにをしているんだろう。どうしたら「私」でいられるんだろう?カトリック系女子高校に通う、三人の少女、那由多、淑子、翠。性格の異なる三人の「私」は、家族、学校、男たちの中にあって、それぞれが遠いはるかを、しずかに深くみつめている。「秘めごと」をかかえる彼女たちの微笑の裏側の自由。甘やかな痛みの底に眠る潔くも強靱な魂。自分を生き抜いていくために「私」が求めていたことは―。記念碑的青春小説。


  洪水のあとに
  地下を照らす光
  廃園の花守りは唄う



章ごとにそれぞれ、那由多、淑子、翠(すい)が主人公である。カトリック系女子高と聞けば、女同士のどろどろした日常を想像される向きもあろうかと思うが、本作は集団としての女子というよりも、そのなかにある個としてのそれぞれを描いている。幼いころのトラウマや、自分自身の存在に対する自信のなさ、プライドの裏返しの劣等感など、さまざまなものを抱えた彼女たちが、誰をどのように信頼し、どのように繋がっていくのかが興味深い。そして、大人にもなりきれていないが子どもというには知りすぎている彼女たちの怜悧な残酷さにもドキリとさせられる。目を離せない心持ちにさせられる一冊である。

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