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四十九日のレシピ*伊吹有喜

  • 2010/07/11(日) 10:50:29

四十九日のレシピ四十九日のレシピ
(2010/02/16)
伊吹有喜

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熱田家の母・乙美が亡くなった。気力を失った父・良平のもとを訪れたのは、真っ黒に日焼けした金髪の女の子・井本。乙美の教え子だったという彼女は、生前の母に頼まれて、四十九日までのあいだ家事などを請け負うと言う。彼女は、乙美が作っていた、ある「レシピ」の存在を、良平に伝えにきたのだった。家族を包むあたたかな奇跡に、涙があふれる感動の物語。


二週間前、良平は乙美が作ってくれたコロッケサンドのソースが染み出していたことで乙美を怒鳴りつけ、せっかくのコロッケサンドを持たずに釣りに出かけた。そして、それが乙美と交わした最後の会話になった。良平の留守中に突然の心臓発作で乙美は亡くなったのだった。乙美は、百合子が5歳のときに新しいお母さんとして熱田家にやってきたのだった。それから三十三年後のことだった。
後妻として熱田家にやってきた乙美は、しあわせだったのだろうか。茫然自失の良平のところへ、乙美がボランティアで教えていた絵手紙の生徒だった井本が訪れ、生前の乙美に託された四十九日のレシピを実行しはじめる。
百合子夫婦のトラブルや親戚からの横槍などに悩まされながらも、乙美の残したレシピは躰だけでなく心の回復にも効き目を表わしていく。じんわりと胸があたたかくなり、涙が浮かぶ一冊である。
人と関わるときには、いまが最後になっても心を残すことのないように接しなければ、と改めて胸に刻んだ。

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